【9月20日 Xinhua News】中国甘粛省(Gansu)敦煌市(Dunhuang)でこのほど、「敦煌学の研究と発揚の世界的意義」をテーマにした国際シンポジウムが開かれ、古代の多元的な文明が育んだ敦煌文化の研究は国際化の優位性を生かし、古代シルクロードの物語を世界に伝えているとの認識が示された。

 6、7両日に開かれた第6回シルクロード(敦煌)国際文化博覧会の一環として開催。中国やロシア、米国、英国、フランス、日本など11カ国・地域の研究者100人余りが参加した。

 同市にある世界文化遺産「莫高窟(ばっこうくつ)」は古代中国文明と古代インド、古代ギリシャ、古代ペルシャなどさまざまな文明との融合を物語っている。中国浙江大学の劉進宝(Liu Jinbao)教授は、東西貿易の中継点であった敦煌を通じて、西方からブドウなどの物産や景教(ネストリウス派キリスト教)などの宗教、文化、芸術が中国に伝わり、中国の絹織物や製鉄技術、漆器などの手工芸品も天山山脈の南北や中央アジアを経て、欧州にまで広まったと説明。敦煌石窟は中外文化交流の成果だと述べた。

 敦煌文化が古代東西文明の交流、学び合いの結晶であるだけでなく、敦煌学も内外研究者による共同推進の下で発展してきた。

 敦煌研究院の蘇伯民(Su Bomin)院長は、内外研究者が100年余りにわたり敦煌文化の研究を続け、多くの学術成果と国際協力プロジェクトを生み出してきたと説明。学術交流と協力が、各国の敦煌学研究者の交流を促進し、相互理解を深めてきたと語った。

 ここ数年、世界的に注目される学術研究分野である「粟特(ぞくとく、ソグディアナ)研究」でも、敦煌は豊富な資料の宝庫となっている。中国敦煌トルファン学会の会長を務める栄新江(Rong Xinjiang)北京大学教授によると、粟特人(ソグド人)は古代シルクロードを往来した貿易商人で、非常に早い時期から交易で敦煌を訪れていた。敦煌長城ののろし台から4世紀初頭のソグド語の書簡が見つかっている。ソグド人は敦煌に定住し、8世紀には集落を形成。敦煌で見つかったソグド語の文書は、ソグド人がシルクロードで果たした役割の重要性を反映しており、同じく敦煌で見つかった漢、回鶻(かいこつ)、于闐(うてん)などの言語で書かれた資料と共に、豊富で多彩な古代シルクロードの歴史絵巻を描き出している。

「国際的な遺伝子」を持つ敦煌文化は、海外の多くの研究者を引き付けている。敦煌研究院の米国人研究員ニール・シュミット(Neil Schmid)氏は、敦煌壁画に描かれた数千幅の供養人像のうち、第98窟の于闐王が注目されていると話した。像は等身大で、精巧に描かれている。シュミット氏は壁画の研究を通じて、于闐王の服飾の形や文様がササン朝ペルシャの特徴を反映していることを発見したという。(c)Xinhua News/AFPBB News