【9⽉15⽇ Peopleʼs Daily】タリム盆地には中国の陸上部における6000メートル以上の深さに眠る石油の83.2%が、天然ガスでは63.9%が埋蔵される。タリム盆地における石油とガスの探査と開発はすでに超深層部に焦点が絞られ、生産基地も建設されている。

 新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)アクス地区(Aksu)シャヤール県(Xayar)では、砂漠にそびえ立つ赤と白の巨大な井戸から、ボーリングマシンの音が鳴り響く。中国初の深さ1万1100メートルの深層探査井の中国石油深地塔科1井だ。

 中国石油天然気集団(China National Petroleum Corporation)傘下のタリム油田にある6000メートルを超える深井の数は中国全国の80%以上の1700か所以上で、8000メートルを超える深井は100か所以上ある。

 中国石油深地塔科1井は地下5856メートルまで掘り進んだが、正念場はこれからだ。中国石油タリム油田探査事業部の段永賢(Duan Yongxian)支配人は「一定の深さに到達すると、1メートル掘り進むたびに難度は幾何級数的に高まります」と説明した。深度が1万メートルに達すれば、セ氏210度超の超高温や130メガパスカル(約1280気圧)の超高圧に対応せねばならないという。

 深地塔科1井では中国が独自開発した世界初の1万2000メートル級深層井の自動ドリルリグが使用されている。このドリルリグは高さが72メートルで、一般的なドリルリグでは300~400トンの引き上げ積載能力は900トンに達した。革新的な高性能PDCドリルやセ氏220度に対応する超高温加工液なども採用し、それまでの「限界を超えた状況なので掘れない」という問題を解決した。

 タリム盆地の複雑な地下岩石層の組み合わせは掘削の難度をさらに高めている。中国石油タリム油田公司の首席技術専門家の王春生(Wang Chunsheng)氏は「世界で公認されている井戸掘削の13種の工事難度指標のうち、タリム盆地では指標7種が難度最高で、他の指標もいずれも上位です。難度が総合的にここまで高いのは世界的でも珍しいことです」と説明した。

 中国では近年、重大科学技術特別プロジェクトにより地質理論と工学技術の両面で一連の革新的成果を挙げたことで、1万メートル級深層油ガス資源採掘の基礎が固まった。また、世界をリードする3次元物体探査技術により、研究者は地層の構造を「見極める」ことができるようになった。地層の「CTスキャン」を実施することで、地下で縦横無尽に交錯する油やガスの層をより鮮明に認識できるようになった。

 関係者によれば、高度な技術を投入しても、掘削は時に「ブラックボックスを開ける」ようなものだ。しかし探査井の成功率は世界平均で30%程度だが、中国では50%以上だ。

 深地塔科1井には、石油やガス資源の発見のほかに科学探索の役割もある。地層深部の秘密を探り、地球内部の構造と進化の法則を知り、この地球という星についてのわれわれの認識を豊かにする役割だ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News