【9月13日 AFP】スイス・チューリヒ大学(University of Zurich)の研究者らは12日、国内のカトリック教会の聖職者による性的虐待の被害者が1950年以降で921人に上るとの調査結果を発表した。虐待の隠蔽(いんぺい)が広範囲で行われており、研究者らは「氷山の一角」にすぎないと警告している。

 調査は教会から委託されたもので、歴史学者らが1年をかけて実施した。この結果、大半のケースで被害者からの報告がない、もしくは虐待の情報を含む文書が破棄されていたことが分かった。

 研究者らは「教会の指導部は2000年代までに分析された性的虐待のほとんどについて、無視または隠蔽、過小評価していた」と指摘している。また、何らかの対応に迫られた場合、被害者ではなく、加害者や組織、自らの地位を守るために行動することが多かったという。

 カトリック教会の性的虐待についての調査は世界各地で行われている。今回の調査は完了までにさらに3年掛かる見込み。

 モニカ・ドマン(Monika Dommann)氏と共に調査を主導したマリエッタ・マイアー(Marietta Meier)教授は今回の発表は、「間違いなく氷山の一角にすぎない」と指摘した。

 これまでの調査では、性的虐待の被害者の74%が子どもだったことが分かっている。加害者は510人で、その大半が男性だった。被害者の半数以上が男性で、約40%が女性だったという。(c)AFP