中国福建省で初、恐竜の化石発見 鳥類の起源研究に貴重な資料提供
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【9月13日 Xinhua News】中国科学院古脊椎動物・古人類研究所はこのほど、同研究所の王敏(Wang Bin)研究員のチームと福建省(Fujian)地質調査研究院の徐立明(Xu Liming)シニアエンジニアのチームが共同で、同省で初めて恐竜の化石を発見し、「奇異福建竜」と命名したと発表した。世界で知られている鳥翼類恐竜としては、ジュラ紀の最晩期に属し、地理的に最南端に位置するもので、鳥類の起源に関する空白の一部を埋めることになる。
鳥類は、少なくとも後期ジュラ紀には非鳥類型獣脚類恐竜から分岐した。そして鳥翼類には全ての現生鳥類および中生代の原始的な鳥類が含まれるため、鳥類の起源や進化を研究する上で、ジュラ紀の鳥翼類は極めて重要な意味を持つ。既知のジュラ紀の鳥翼類はわずかにアンキオルニスとそれに類似した種のみで、そのほとんどは中国東北地域で発見されている1億6600万年から1億5900万年前の燕遼生物群であり、約1億3千万年前の前期白亜紀に出現した大量の鳥類との間には、3千万年もの時間的空白がある。
中国科学院古脊椎動物・古人類研究所と福建省地質調査研究院は2021年から福建省で古脊椎動物の化石調査を実施しており、22年10月に同省南平市政和県の後期ジュラ紀の地層でほぼ完全な保存状態の恐竜の化石を発見した。1年近くに及ぶ修復と分析、研究を経て、研究チームはこの新種が鳥翼類に属すると判断、「奇異福建竜(Fujianvenator prodigiosus)」と命名した。これは、福建省内で発見された初めての恐竜の化石でもある。
徐氏率いるチームは、総合地質調査や放射年代測定により、奇異福建竜が生息していた時代を後期ジュラ紀チトニアン期に限定した。王氏らは、古地理復元によって、これが現在世界で存在が知られている中で地理的に最南端に位置するジュラ紀の鳥翼類であることを確認した。奇異福建竜の発見により、鳥類の起源に関する時間と空間上の空白の一部が埋まることになる。
系統解析の結果、奇異福建竜とアンキオルニスはごく近縁であり、鳥翼類の中で最も初期に分岐したアンキオルニス科を構成していることが分かった。奇異福建竜の最大の特徴は後肢の構造で、大腿(だいたい)骨は短く、脛骨(けいこつ)と中足骨(ちゅうそくこつ)は細長い。王氏らは、比較系統分類学の分析と組み合わせ、奇異福建竜の体の構造が他の鳥翼類と類似しており、体型の点で恐竜と鳥類の中間に位置することを発見した。
王氏は「奇異福建竜は、走るのが得意だったかまたは水辺で生活していた小型の獣脚類恐竜であったと考えているが、このような習性は、鳥類の起源は『樹上生活』の生態や習性が進化して始まったとする学界の理解とは全く異なる。奇異福建竜の発見は、原始的な鳥翼類の生態学的多様性をより豊富にした」と述べた。
さらに、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所と福建省地質調査研究院で構成された調査チームは、政和県地域で水生および半水生のカメ類やコリストデラ類を含む保存状態の良い爬虫(はちゅう)類の化石を多数発見した。こうした化石の豊富さと多様性、および正確な年代学の枠組みに基づき、研究者らはこれを「政和動物群」と名付けた。これは、世界で知られている現存する鳥翼類の動物群としては、ジュラ紀の最晩期に属し、地理的に最南端に位置するものとなる。
関連の研究成果は6日、国際的学術誌「ネイチャー」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News