【9月8日 AFP】オーストリア外務省は7日、マルティン・セルマイヤー(Martin Selmayr)駐オーストリア欧州委員会(EC)大使が、オーストリアはロシアに「殺人報酬」を渡すかのように天然ガスを購入し続けていると非難したとする件について、同大使を呼び出し抗議したと明らかにした。

 オーストリア通信(APA)によると、セルマイヤー氏は6日、ウィーンでの行事に出席した際、オーストリアでロシア産ガスの輸入量のさらなる削減を求めるを抗議行動がないことに「驚いている」と述べ、「なんと、今もオーストリアのガスの55%はロシアから輸入され続けている。ロシアに毎日ガス代として、殺人報酬が送られている」と続けた。

 AFPはこの発言について在オーストリアEC代表部にコメントを求めたが、これまでに回答はない。

 ECのダナ・スピナント(Dana Spinant)報道官によると、ECはセルマイヤー氏に対し、この件について直ちに報告するよう求めた。また、「ECは駐オーストリア大使による遺憾かつ不適切な発言と距離を置く」としている。

 欧州連合(EU)の「行政府」に当たるECは天然ガスについて、消費量を削減し、ロシア産からの脱却を図るようEU加盟国に促している。

 ウクライナ侵攻開始前、オーストリアの天然ガス輸入量の80%をロシア産が占めていたが、政府統計によると、今年6月には60%に減少している。

 オーストリアは数十年前からロシア産天然ガスを輸入している。同国ガス業界の専門家らは、ウクライナ侵攻にかかわらず、ロシア産ガスは今後も同国にとって重要であり続けると主張している。(c)AFP