【9月8日 Xinhua News】中国ではペット市場の拡大に伴い、新たな業態や業界のけん引役が生まれており、中でも「ネコノミクス(猫の経済効果)」の著しい高まりに注目が集まっている。「2022年中国ペット業界白書」によると、22年に中国の都市部で飼育されていたペットは猫が最多で、全体の6割を占めた。

 一線都市と呼ばれる北京、上海、広州(Guangzhou)、深圳(Shenzhen)の四大都市や地域中核都市では若者による猫の飼育が一般的になり、関連支出が発生している。ペースの速い生活や仕事上のストレスなどにより、寄り添って心を癒してくれるペットを求める人は増えている。

 湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)に住む毛紫薇(Mao Ziwei)さん(26)は茶色の野良猫を引き取り「巻巻(ジュエンジュエン)」と名付けて飼っている。「キャットフードや猫砂、それにフィッシュオイル、毛並みを整えるサプリメントや毛玉ケア用ペーストなどの健康食品を購入する。去年は全部で6300元(1元=約20円)使った」と、出費を惜しむ様子はない。巻巻を連れ帰った日から責任感が芽生え、病気の心配をしたり、食べ物や生活状況を気にかけたりする一方、愛猫の存在が都市で生きる力をもたらしているという。「自分に従わせるために飼っているのではない。ペットとして選んだからには責任を持ち、最善の条件で幸せに過ごしてもらいたい」と思いを語った。

 飼育需要の高まりとともに消費も多様化し、業界関係者は手応えを感じている。広東省深圳市で猫の飼育施設を経営して6年になる袁駿銘(Yuan Junming)さんは「問い合わせが明らかに増えた。猫を購入する際、ペットショップだけでなく、より専門的で健全な施設が選ばれるようになっている。オンラインでは店舗以上に多くの問い合わせが寄せられる」と話した。猫を選ぶ基準も「見た目」「コスト」から「健康」「人懐こい性格」などに変わりつつあると説明した。

 袁さんの施設では長毛種のラグドールのみを育てており、価格は5千~4万元。購入者は都市で事務系の仕事に就く人が多い。猫の販売やペットの美容といった成熟分野に加え、ここ数年は猫の遺伝性疾患検査、ペット向け医療保険、撮影など新たなサービスが次々と生まれている。撮影が不得手な袁さんはオンラインでの問い合わせ増加に伴い、猫の撮影をプロに任せることにした。他にも飼い主と交流するコミュニティーの形成やキャットショー出場などを通じて日常的な宣伝を行っている。

 事業の見通しについて袁さんは「飼い主の若年化、高学歴化、高収入化が進んでいる。猫を飼う目的もかつてのネズミ退治からパートナーへと変わった。ペット経済の先行きは非常に明るいと思う」と自信をのぞかせた。(c)Xinhua News/AFPBB News