中国では洋上風力発電が急速に発展中
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【9⽉7⽇ Peopleʼs Daily】中国・福建省(Fujian)北部の海域でこのほど、世界初の16メガワットの超大容量洋上風力発電ユニットが送電に成功した。
中国の洋上風力発電の設備容量は2022年末時点で計3000万キロワットを超え、2年連続で世界第1位だった。中国の洋上風力発電容量は2012年末時点では計約39万キロワットと出遅れたが、その後は急速に発展し、現在では全世界の5割近くを占めるに至った。
中国の洋上風力発電施設の大きな特徴は大型化だ。2007年に渤海で発電を開始した1.5メガワットの風力発電機の羽根の長さは40メートル弱だった。新たな16メガワットの洋上風力発電機は、羽根の長さが123メートルで、羽根車が回転する面積はサッカー場約7面分に相当する。羽根の取り付け場所は50階建てのビルに匹敵する高さ152メートルだ。この発電機は年間で3人家族の3万6000世帯の年間電力使用量に相当する6600万キロワット時を発電する。
風力発電施設を手掛ける新疆金風科技(Goldwind)の海上業務部門の責任者である于晨光(Yu Chenguang)氏によると、風力発電で100万キロワットを得る場合、8メガワットの発電機では125基が必要になる。16メガワットの発電機ならば63基で済み、塔建設のコストを40%以上削減できる。また、16メガワットの羽根車は捕風効率が高いこともあり、推算では単位電力量当たりの総合発電コストが約12.5%減少する。
中国再生可能エネルギー学会風力エネルギー専門委員会の秦海岩(Qin Haiyan)事務局長によると、中国は大容量洋上風力発電ユニットの自主設計から建設や運用に至るまでの全ての能力を備えるに至った。中国で生産される発電機、ハブ、タワー、羽根、ギアボックス、ベアリングなどの重要部品の生産量は世界市場の70%以上を占める。さらに中国で建造された2000トン級洋上風力発電設置プラットフォーム「白鶴灘」が昨年9月に引き渡され、洋上風力発電ユニットの設置能力が大幅に向上した。
秦事務局長によると、中国では施設の大型化などに伴い、2021年には洋上風力発電のコストが2010年比で約56%も低下した。洋上風力発電による平均電力コストは1キロワット時あたり0.33元(約6.6円)程度にまで低下しており、2025年までには価格競争力を十分に獲得する見込みだ。
中国には1万8000キロ以上の大陸海岸線があり、洋上風力エネルギー資源が豊富だ。秦事務局長によると、中国の洋上風力エネルギー資源の開発可能量は27億8000万キロワットだが、現在の利用率は1.1%にも満たない。開発の余地は極めて大きいという。
さらに、中国の電力負荷は東部沿海地域に集中しているが、エネルギー資源は主に西部と北部地域に存在する。東部沿海の沖合いで洋上風力発電を発展させれば、エネルギーの需給の地が離れている問題を緩和することができる。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News