【9月4日 Xinhua News】中国は新学期のシーズンを迎えた。今年の夏休み、若者はどこに出かけたのだろうか。ビッグデータを通じて見てみよう。

 文化観光で最も人気を集めたのは、各地の博物館だった。文化財を鑑賞し、無形文化遺産を体験することが夏休みの「必須項目」になった。博物館ブームの背景には若者と伝統文化の急接近がある。ますます多くの博物館がショート動画ライブやミニプログラム、アプリなど新たな発信手段を使って時空の制約を打ち破り、常時開館のインターネット博物館を実現。ネットを活用した取り組みで若者の関心を引いた。

 動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」が発表した「2023博物館データ報告」によると、「00後」と呼ばれる2000年代生まれは、博物館関連の動画を好む人の割合が他の世代よりも高い。博物館情報に注目している人の半数近くが18~30歳との統計もある。ソーシャルメディアでは多くの若者が博物館の見学体験を投稿しており、オンラインとオフラインの博物館巡りが定着しつつある。

 冬に七輪を囲みながらお茶を楽しんだのに対し、夏は野山で冷茶を飲むのが流行した。キャンプ場の一服は、若者が実践する暑気払いの一つになっている。「00後」で新社会人の李黙然(り・もくぜん)さんは「私たちはお茶を飲むためだけではなく、都市の高層ビルをしばらく離れ、山の雰囲気と空間を楽しみたくて来た」と話した。

 アウトドアブームは関連商品の売り上げを伸ばした。電子商取引(EC)大手の京東集団(JDドットコム)が7月に発表したアウトドア・スポーツ用品売り上げランキングにはキャンピングカーや折り畳み椅子が並び、速乾性と日焼け防止機能を備えた衣服の取引額は前年同期比3・3倍となった。北京工商大学の周清傑(しゅう・せいけつ)教授は「若者が山あいの雰囲気に喜んでお金を払うのは、消費理念が進歩したことの表れだ。山間部の文化観光を発展させるには、健全なサービスと商品供給を実現し、管理モデルを整え、アウトドア体験を向上させる必要がある」と語った。

 街を歩く旅もある。今夏は「シティーウオーク」と呼ばれる街歩き型の観光が流行した。没入型体験として都市の現在と過去を体感することに重点を置いており、旅行者は街に溶け込み、旧市街や古井戸、古建築など従来とは異なる場所に注目した。個性や品質が求められる時代に、珍しい物を求める旅の方式が若者の新たな選択肢になった。生活関連サービス大手の美団と都市生活情報サイト「大衆点評」のデータによると、7月に「シティーウオーク」の検索数が前月比2・5倍、「攻略ノート」の数も2倍以上になり、上海、北京、重慶、青島などへの関心が特に高かった。

 インドア派の間では、社区(コミュニティー)の図書館が良き訪問先となった。「シティーリード」と呼ばれる読書スタイルが静かな流行を見せ、図書館は理想の居場所になりつつある。大衆点評では過去1カ月の「社区図書館」の検索数が前年同期比約3倍、評価数が4倍以上、「攻略ノート」の数が3・8倍以上になり、検索していたのは主に20~35歳のユーザーだったことも分かった。大衆点評のコメント欄には「静かな休日の午後に近所の図書館で、紙の本の世界に時間をゆったりと漂わせるのが好き」との書き込みがあった。

 親友と共に山で味わうお茶、博物館や名所旧跡で触れる伝統文化、街歩きで感じる都市の脈動、あるいは図書館で求める安らぎ。若者はこの夏、個性的な生活スタイルを見つけ出した。(c)Xinhua News/AFPBB News