メキシコ市の象徴「ヤシの木」撤去 気候変動と食害で
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【8月31日 AFP】メキシコの首都メキシコ市当局はこのほど、街の象徴として市民に愛されてきたヤシの木を撤去すると発表した。気候変動と昆虫による食害が理由だという。
撤去されるのはスペイン領カナリア(Canary)諸島原産のナツメヤシで、樹齢が200年を超えることもある。
だが、本来青々としている葉は黄変してしまっている。専門家は甲虫「ヤシオオオサゾウムシ」が原因だと指摘する。
ヤシオオオサゾウムシはアジアの熱帯地域に生息する種だが、現在は世界各地に分布し、ヤシの木に深刻な被害をもたらしている。
植物病害を専門とするレイナ・ロハス(Reyna Rojas)氏は、気候変動により樹木が昆虫に対してこれまで以上に脆弱(ぜいじゃく)になっていると指摘する。「気温上昇は、植物により大きなストレスをもたらす」とし、その結果、昆虫がひきつけられると語った。
市内ナルバルテ(Narvarte)地区の中心部では、枯れたヤシの木の撤去作業が進められていた。
住民の男性(55)は「この地区の本質がなくなってしまう」と話した。「ヤシの木がなければナルバルテはナルバルテではなくなる」
市当局は7月、ヤシの木155本を撤去すると発表した。ヤシが「世界各地で起きている気候変動の影響を受けやすいことが証明された」と述べている。
7月の市内の気温は30度を超え、平年を上回った。(c)AFP