中国・アモイで復活した「16歳の成人式」 由来は七夕の織り姫
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【8月31日 東方新報】中国沿岸の福建省(Fujian)アモイ市(Xiamen)で8月22日(旧暦の7月7日)、閩南地方(福建省南部)の伝統儀式「16歳の成人式」が開かれた。
中国で七夕節は「七娘媽の誕生日」とも呼ばれる。「七娘媽」とは織り姫のこと、もしくは織り姫を含めた七姉妹を指す。彦星と織り姫が七夕で年に一度再会する際、他の六姉妹が織り姫の子ども二人を預かったという言い伝えもある。七娘媽は子どもの守り神としてあがめられ、子どもが16歳になるまで毎年の七夕に七娘媽を祭る儀式がある。そして子どもが16歳になると、一人前になったとして成人の儀式を行う。
成人式はアモイ市思明区(Siming)の仏教寺院・朝宗宮で行われ、44人の男女が真っ赤な「状元服」をまとって参加。「状元」はかつての中国の官僚採用試験・科挙でトップの成績を修めた者に与えられる称号で、現在では若者の門出を祝うときに状元服をまとうようになった。若者たちは市内を練り歩き、住民たちに成人を迎えたことを報告。その後、朝宗宮に戻り、平安橋や青年門を通り、七娘媽を祭る祭具「七娘媽亭」の下をくぐる儀式をした。そして自分の親の前にひざまずき、感謝の意を込めて緑茶を献じた。子どもの成長を実感し、目に涙を浮かべる親の姿もあった。
成人式には、インドネシア華僑の8人も参加していた。その一人、華僑3世の黄愛容(Huang Airong)さんは「私の祖先は福建省出身で、子どもの頃から成人式のことを聞いていました。自分が参加できて、一生忘れられない体験になりました」と笑顔を浮かべた。
16歳の成人式は清朝の時代が由来とされるが、アモイ市では2015年から街を挙げた儀式を再開した。8月は22日以外にも成人式が執り行われ、華僑や台湾の若者も参加。朝宗宮管理委員会の林招治(Lin Zhaozhi)主任は「多くの若者が伝統文化を体験し、感謝の気持ちを養ってほしい。国内外の多くの若者が参加し、交流と友情を深める機会にもなれば」と話している。
中国では伝統文化をファッションに取り入れる「国潮スタイル」が若者の間で流行している。西洋文化にあこがれる上の世代と異なり、生まれたときから経済成長が続く中国に誇りを感じており、「16歳の成人式」の復活もその流れの一つと言えそうだ。(c)東方新報/AFPBB News