世界遺産の岩絵に描かれた「踊る小人」 中国・広西チワン族自治区
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【9月2日 Xinhua News】中国広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)崇左市(Chongzuo)寧明県(Ningming)の中心市街地から南西約25キロの明江北岸には「花山」と呼ばれる山があり、くっきりと内側にくぼんだ断崖絶壁を形成している。壁面には赤みを帯びた褐色の顔料で描かれた人物や動物、器物の絵で埋め尽くされており、遠くから見るとその一つ一つがまるで「踊る小びと」のように見える。
岩絵は2千年以上もの間、風雨にさらされてきたが、大部分が今なお鮮明に残っている。2016年に「左江花山の岩絵の文化的景観」として国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録された。
寧明県文物管理所の朱秋平(Zhu Qiuping)所長によると、岩絵は幅221メートル、高さ約45メートル、面積は8千平方メートルを超える。人や動物、環首刀、羊角鈕鐘(ようかくちゅうしょう、釣り鐘状の楽器)、銅鼓(青銅製の片面太鼓)など1950個余りの絵が描かれている。
羊角鈕鐘や環首刀、銅鼓などの形状やこれまでに出土した文化財との比較、現代科学技術に基づく調査により、考古学者は岩絵が戦国時代から後漢時代に描かれ、最も古いものは2千年余り前にさかのぼると特定している。制作期間は700年ほど続いたとみられる。
2千年余りの風雨による侵食や自然現象による損傷を受けて一部の岩絵には剥落したものもあり、この「芸術の神殿」を守る取り組みが続けられている。左江花山の岩絵は1988年、国務院から全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財)に指定され、2004年には関係部門が学際重点プロジェクトを立ち上げ保存調査や補強材試験などを実施、09年からは保存プロジェクトが本格的に始動した。さらに、国の関係機関や広西チワン族自治区はここ数年、花山の岩絵保護を重点に据えた専門家チームによる侵食調査や科学実験、岩体の保護といった一連の活動を複数回にわたって実施している。(c)Xinhua News/AFPBB News