【8⽉31⽇ Peopleʼs Daily】中国では2023年7月の全国映画興行収入が87億1600万元(約1750億円)に達し、2018年7月に打ち建てられた最高記録を25%も上回った。2023年の夏休み映画の8月6日までの興行収入は2018年同期比24.02%増、2019年同期比20.01%増の146億8100万元(約2950億円)に達した。

 清華大学(Tsinghua University)の尹鴻(Yin Hong)教授は、夏休み公開中の映画作品はジャンルが多様で各作品の水準が高いと指摘した。そのような作品がタイミングよく次々に公開されたことで人々の鑑賞意欲が刺激されたという。

 特に注目すべきは、中国作品が「百花繚乱」の状態になり、質の高さの評判が口コミで広がったことだ。映画興行業界における中国作品のシェアは過去最高になった。

 アニメ作品では、『長安三万里(英題:Chang An)』が中華の優れた伝統文化を扱った。同作品を共同で手掛けた謝君偉(Xie Junwei)監督と鄒靖(Zou Jing)監督は、「詩人たちの理想と追求についての物語を作り、大唐の詩人と彼らの詩が到達した精神と芸術の高さを示したかったのです」と述べた。

 同作品には唐代に創作された古典詩48編が登場する。制作チームが参照した書物は100冊以上で、当時の民俗文化や詩、美学について本格的に研究したという。その結果、扱う題材も表現手法も画期的な作品が出来上がった。上映直後に観衆が一斉に立ち上がって拍手をし、一部の観客が自分の覚えている詩を暗唱する状況も出現した。

『封神第一部:朝歌風雲(英題:CreationofTheGod:KingdomofStorms)』は中国の神話物語の「封神演義」を題材にした作品で、中国文化の色合いが濃厚であるだけでなく、制作プロセスの合理化や上質化でも世界のトップレベルに達した。この作品は、中国の映画制作の手法が急速に進化しつつあることも示した。

 サスペンス映画では、『消失的她(邦題:消えた彼女)』が新たなストーリー展開の様式を実現した。同作品プロデューサーの陳思誠(Chen Sicheng)氏は、「視点を変える方式で情報の非対称性を作り出しました。観客により楽しんでいただきたいと考えました」と語った。同作品は8月9日までに興行収入が35億元(約703億円)を突破した。

 スポーツ映画では『熱烈(英題:One and Only)』がヒットした。同作品の大鵬(Dapeng)監督は「ストリートダンスを主に扱った作品ですが、伝える精神はすべての人に密接な関係があります。普通の人でも自分の好きなことにはこだわり、決して諦めない精神です」と語った。

『MEG ザ・モンスターズ2(英題:Meg 2: The Trench)』は中米合作作品で、自然を愛し自然を守ろうとする、中華民族の素朴な伝統概念がはっきりと示された。

 また、『八角の籠の中(英題:Never Say Never)』や『孤注一擲(英題:No more bets)』は、社会問題に注目する中国映画の伝統を受け継いだ作品だ。これらの社会的意義が強い作品も、観客の共感を呼んでいる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News