【8月27日 AFP】ソロモン諸島政府やフィジー野党などの太平洋の親中勢力は25日、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の処理水海洋放出を非難し、中国に同調した。

 海洋放出について、国際原子力機関(IAEA)は国際的な安全基準に合致しており、「環境への放射線による影響は無視できる程度」だと評価し、日本政府も安全性を保証している。しかし、中国は猛反発。太平洋の親中勢力も追従している。

 ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ(Manasseh Sogavare)首相は「(海洋放出は)ソロモン諸島の国民や海、経済、暮らしに影響を与える」と主張し、「日本の決定に強く反対する」と表明した。

 ソガバレ氏は中国の小切手外交を受け入れる一方、選挙を延期し、西側主要国を猛批判している。

 フィジーの首都スバでは25日、フランク・バイニマラマ(Frank Bainimarama)前首相率いる野党フィジーファーストの呼び掛けで、数百人規模の抗議デモが行われた。参加者は「核のない海を!」「Pacific Lives Matter(太平洋の命も大切)」などと書かれたプラカードを掲げた。

 バイニマラマ氏は在任中、中国との関係強化を目指していた。フィジーファーストは「日本がわが国の海に核廃棄物を投棄することを許し、将来世代を見捨てた」と自国政府を非難した。

 だが、他の国々の首脳らはIAEAや日本を信頼しているようだ。

 太平洋諸島フォーラム(PIF)の議長国、クック諸島のマーク・ブラウン(Mark Brown)首相は、「日本は太平洋地域に対し、(放出される)水は処理済みだと確約している」「海洋放出は、国際的な安全基準を満たしていると信じている」と述べた。

 豪カーティン大学(Curtin University)のナイジェル・マークス(Nigel Marks)教授(物理学)は、放出される処理水に含まれる放射性物質トリチウムの量は無視できる程度だと述べた。

 マークス氏は「太平洋の海水にはすでに8400グラムの純粋なトリチウムが含まれているが、日本が放出するトリチウムは年間0.06グラムにすぎない」「微量の放射性物質が放出されたところで、何ら変わりはない」と指摘した。(c)AFP