【8月23日 AFP】フィリピン当局は22日、中国と領有権を争う南シナ海(South China Sea)の南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)沖にあるアユンギン礁(セカンド・トーマス礁、Second Thomas Shoal)の軍拠点に対し、物資の補給を完遂したと発表した。

 比側は当初5日に、同拠点に食料、水、燃料を補給する予定だったが、中国海警局の船舶から、放水銃などによる妨害を受けていた。

 それから約2週間後となった今回の補給任務では、AFPを含むメディア3社に同行取材の機会が与えられた。AFP取材班は、巡視船「カブラ(Cabra)」に乗船した。

 米軍の偵察機が上空を旋回する中、比沿岸警備隊の船2隻と補給船2隻を中国船8隻が追跡し、妨害行為に及んだ。中国側の1隻は、カブラから数メートルの距離まで近づくこともあった。

 中国船は無線交信で、比側の船に対し海域を直ちに去るよう要求。さもなければ「あらゆる結果の全責任を負う」ことになると警告した。

 また、「人道精神にのっとり、建築資材以外の食料や必需品、交代人員の輸送だけは認める」との声も聞こえた。

 比海軍は1999年、中国の海洋進出を阻止する目的で、第2次世界大戦(World War II)中に建造された戦車揚陸艦「シエラマドレ(Sierra Madre)」をアユンギン礁に意図的に座礁させた。

 老朽化した同艦に常駐する部隊は、生活必需品の補給に頼らざるを得ない。今回任務に当たった補給船2隻は最終的に、シエラマドレに物資を届けることに成功した。

 比沿岸警備隊の報道官は23日、「われわれには誰の許可も必要ない」と述べ、「人道的観点から」物資の補給を認めたとする中国側の主張を一蹴した。

 アユンギン礁は、比パラワン島の西方約200キロに位置する。中国からは、最も近い海南(Hainan)島でも1000キロ以上離れている。(c)AFP/Faith BROWN