中国で「農村文化活動」にニューウェーブ
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【8⽉25⽇ Peopleʼs Daily】ここ数年来、中国の農村文化の発展は著しい。農村部の地元の特色のある文芸公演を主とする「村晩」は新年の催しとして定着した。農村のスポーツイベントはオンラインとオフラインで100万人の観客を集めるようになった。
農村の文化イベントは1日にして成立したのではなく、「分厚い積み重ね」が花開いたものだ。多くの農村文化活動は、広く注目される前に、すでに長年の蓄積があった。例えば、浙江省(Zhejiang)の月山村の春節(旧正月、Lunar New Year)の年越しの演芸活動として多くの人が注目するようになった「村晩」が始まったのは1981年で、40年以上の歴史がある。貴州省(Guizhou)の榕江県(Rongjiang)で「貴州榕江和美郷村サッカースーパーリーグ」が最初に開催されたのは1990年代だった。
農村部でのイベントの盛り上がりの背景には、貧困からの脱却を重要な目的の一つとした農村振興策があった。すなわち農村部住民は物質的に豊かになると同時に、精神面や文化面の充実も求めるようになった。さらに、住民の郷土文化を伝承し発揚する責任感も強まった。農村部住民はそのために、主体的に行動するようになった。
そして、インターネットの浸透により、農村でのイベントはより多くの人に「見られる」ようになった。中国の農村部のネットユーザー数は2022年12月時点で3億800万人に達し、農村部でのインターネット普及率は61.9%に達した。浙江省各地の「村晩」は昨年、ネットを通じて1億人以上が視聴した。
農村部で開催されるスポーツイベントが中国全国に急速に浸透したのも、高難度の技を紹介したショートムービーを大量に配信したからだ。デジタル技術により各地の情報の「可視度」が大幅に向上し、各種の農村文化が産業化するための重要な支えになった。
農村文化の発信にあたって各地の人びとは「新機軸」を打ち出した。例えばスポーツ大会の賞品は「家畜」などの「土の味」を感じるものだ。また、大会中には地元の伝統文化、例えばトン族の合唱や、ミャオ族の歌と踊り、竜や獅子の舞いなどが披露される。いつもは農作業などに精を出す地元住民は、「大舞台の主役」に変身する。このことで、農民や農村生活に対するイメージが一変した。人びとは中国の新時代の農民、新時代の農村文化を強く感じることになった。
オンラインではなく、現地に足を運んで農村の文化活動を体験する人も増えた。そのために、現地の民泊、ホテル、飲食などの業界の売上高が増加し、さらに地元のさまざまな観光資源、無形遺産プロジェクト、特産品の普及を後押しした。貴州省・榕江県の統計によると、「農村サッカースーパーリーグ」にけん引され、今年5月の観光客受け入れ数は前年同月比39.73%増、観光総合収入は同52.08%増だった。中国での農村文化への注目の高まりは、文化とそれを支える経済の結合をもたらしている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News