【8月23日 Xinhua News】中国各地でこのところ、市場を訪れる若者が増えている。癒しを求めてペットショップを見に行く人もいれば、コーヒーを味わう人もいる。市場は若者が好む街歩き型の観光や、過度な盛り上がりから一線を画す心理に合致し、人気スポットになりつつある。

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 生活関連サービス大手の美団や都市生活情報サイト「大衆点評」によると、「市場」の検索数は過去1カ月で前期比2・2倍超、関連する「攻略ノート」の数は2・1倍超、コメント数は2・7倍以上に増加。大衆点評で過去1カ月に「市場」を検索したユーザーの7割以上が20~35歳で、うち6割以上が女性だった。検索数が多い都市名は天津、北京、上海、安徽省合肥、黒竜江省ハルビンの順だった。

 SNSでも「市場を訪れる若者」が頻繁に検索されている。口コミアプリ「小紅書(RED)」が今年立ち上げたトピック「市場漫遊案内」は6062万1千回のアクセス数を獲得し、「豆弁(Douban)」では「市場愛好家」グループの参加者が15万7千人に達した。

 ▽独自の方法で市場を楽しむ若者たち

 市場には地域ごとに異なる風情があり、地元の生活を知ることができるため、多くの若者にとって出張や旅行の際に外せない訪問先となっている。雲南省昆明市の大観篆新自由市場では特産の山菜や食用花のほか、さまざまな野生キノコを見ることができる。

 現代の若者にとって、市場の楽しみはグルメや生活感にとどまらない。小紅書や豆弁にはかわいいペットやカフェ、ブックフェアや芸術展などを訪問理由に挙げる声もある。

 四川省成都市に住む「85後(1985~89年生まれ)」のネットユーザーは小紅書に、蘇坡自由市場で犬や猫の店を訪れると心が癒されるとした上で、市場はショッピングモールよりもストレス解消に向いていると書き込んだ。

 コーヒー好きにとっては、市場内にあるカフェの魅力が大きい。豆弁のグループに参加する浙江省杭州市のネットユーザーは、「紅石板市場に開店したカフェでは、コーヒーの香りに土や野菜、海鮮の匂いが混ざり、とても面白い」と語った。

 若者の中には写真撮影を目的とする人もいる。雲南省麗江市の忠義市場からは雪山が見え、大理市の北門市場は背負い籠の生花を3束10元(1元=約20円)で販売していることで知られる。江蘇省蘇州市の市場、双塔市集にある雑貨店や江蘇・浙江両省の特産グルメを扱うエリアには撮影やSNS投稿を目的に他地域から毎日多くの若者が訪れる。観光地となった市場は撮影スポットとして新たな価値を見いだされている。

 ▽整然とした衛生的な市場

 市場の側も静かに変わり始めている。第一に市場がより清潔になり、排水システムも改善され、居心地が良くなった。野菜や肉、水産物などのエリアが新たに区分されたことで、より整然とした衛生的な場所となった。

 第二にスマート化と利便性向上が進み、2次元バーコード決済やWiFi接続などに対応した。野菜を買うとネギをおまけしてくれたり、買った魚を切り身にしてくれたりするだけでなく、メニューの提案や宅配などのサービスをワンストップで提供する店主もいる。

 第三に市場がより洗練され若者向きになり、デザイナーやキュレーター、画家の注目を集めるようになった。北京の三源里市場や上海の烏中市集などではデザインや絵画、書道などの要素が溶け込み、生活と芸術の絶妙な出会いをもたらしている。買い物は一種の旅であり、独特の芸術的シンボルや体験が若い観光客を引き付けている。(c)Xinhua News/AFPBB News