【8月23日 Xinhua News】中国の科学者がこのほど、実験室内で二酸化炭素(CO2)から糖を正確に合成することを実現し、糖の人工合成に向け大きな一歩を踏み出した。研究成果は15日付の中国の著名な学術誌「科学通報」に掲載された。

 糖は人体が必要とするエネルギーの主な供給源であり、世界の科学界もここ数年、糖を人工的に合成する研究を進め、これまでに複数の科学者が成果を上げている。

 今回の研究は、中国科学院天津工業生物技術研究所と大連化学物理研究所の研究チームが2年余りかけて完成させた。論文の筆頭著者、楊建剛(よう・けんごう)氏によると、チームは溶液中に高濃度CO2などの原料を一定の割合で調合し、化学触媒と酵素触媒の作用下でブドウ糖、プシコース、タガトース、マンノースといった4種類の六炭糖(ヘキソース)を得た。ヘキソースは自然界に広く分布し、人体の栄養素の代謝と密に関わる糖の総称である。

 実験全体の反応の所要時間は約17時間。サトウキビなどの農産物から糖分を抽出する従来の方法と比べ、所要時間は「年」から「時間」へと一気に短縮された。

 今回の実験での糖合成効率は1リットル・1時間当たり0・67グラムと、既知の成果より10倍以上向上した。ブドウ糖の炭素固定合成効率は触媒1ミリグラム・1分間当たり59・8ナノモルに上り、既知の国内外の人工的な糖合成で最も高い水準となった。

 実験では糖人工合成の精度の高い制御も実現した。楊氏は「別々の酵素の異なる触媒効果を制御することで、理論上はほぼどのようなタイプの糖でも合成できる」と語った。

 ドイツ国立科学アカデミー・レオポルディーナ会員のマンフレデット・リーツ氏は同論文について、CO2から糖への変換は特に難しいとし、この成果は柔軟性があり、多様な機能を備え、高効率な糖合成の方法を提供し、グリーンケミストリーの扉を開いたと評価した。(c)Xinhua News/AFPBB News