【8月20日 CNS】過去数年間、中国の小型家電製品では一時期に「購買意欲植え付け」ブームが起こった。しかし、一部の小型家電は、機能があまり使われない、掃除が不便、製品の品質が不均一で、修理が難しいなどの理由で、放置されてしまうケースが見られ、業界の成長も停滞している。専門家は、小型家電市場の突破口は、企業のイノベーション力の向上にあると考えている。

「小型家電市場の変化は、さまざまな要因によるものだ」と、ベテラン産業経済アナリストの丁少将(Ding Shaojiang)氏は分析している。丁氏は「産業自体の状況から見ると、一方では炊飯器やIH調理器などの伝統的な小型家電の需要は飽和状態であり、製品技術のアップグレードが新たな需要の効果的な喚起につながっていない。他方で、新興のネットで人気の小型家電は、新型コロナパンデミック期に一時的な売り上げ上昇を経験したが、実際上の使用シーンの少なさ、若者の在宅時間の減少、製品品質の不均一などの問題から、その後の成長力に欠けている」と指摘した。

 同時に、ビックデータの分析サービスを提供する奥維雲網(All Viw Cloud)の関連データによると、小型家電市場では消費が二極化する傾向も見られ、製品はコストパフォーマンスへの重視が求められるか、高品質なハイエンド化が求められるかのどちらかになっている。

 北京商業経済学会の頼陽(Lai Yang)常務副会長は、これは、小型家電市場のシェアが高くなるにつれ、消費需要が進化し、純粋なマーケティングプロモーションだけでは大衆の購買欲求を大幅に喚起することはできなくなったことを示していると見ている。また、中国の家電消費はもはや単なる顕示的消費ではなく、消費者が家電製品に対して、よりスマートで品質の高いものを求めていることを反映しており、小型家電メーカーが突破を達成するためには、どのようにイノベーション・研究開発の力を強化し、コモディティ化による価格競争から脱却するかが鍵だと考えている。

 丁氏は、小型家電市場は機能の細分化によって注目を集めているが、実際の生活ではその応用シーンが日常的に不足しているため、企業は特定のシーンやターゲット層を対象にした製品を開発すべきで、実際の生活シーンに基づく差別化されたイノベーションを強化する必要があると考えている。

「現在、トップの小型家電メーカーは、ブランドと技術の競争力を構築するために努力しており、リアルでのチャネル展開も強化している。一方で、受託製造でスタートした小型家電メーカーも、自社ブランドの構築へ注力を高め、企業の収益力を向上させている」と、丁氏は述べている。(c)CNS-工人日報/JCM/AFPBB News