【8月17日 AFP】アルプス(Alps)の氷河で1991年に発見されたミイラ「エッツィー(Oetzi)」が、これまで考えられていたよりも肌の色が濃く、死亡時には頭髪が皆無、もしくはほぼなかったとの研究結果が16日、発表された。

 通称「アイスマン(Iceman)」として知られるエッツィーは、イタリア北部・南チロル(South Tyrol)のエッツタール・アルプス(Oetztal Alps)の標高3210メートルの高地で発見された男性のミイラ。約5000年前に死亡したと考えられている。

 当初の研究では、東欧地域に広がる大草原地帯の遊牧民とのつながりを示唆する遺伝子配列があるとされた。だが、独マックス・プランク進化人類学研究所(Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology)の最新の研究によると、エッツィーには、アナトリア(Anatolia)地域の初期の農民と共通するゲノム配列が確認された。

 当初の遺伝子サンプルは、より新しい年代のものが混ざっていたとされ、これが誤った結果をもたらしたとみられる。

 外見についても、これまで考えられていたのとは異なる可能性があるという。肌の色は氷の中で長期保存されたために濃くなったと考えられていたが、もともとの色だったとの見方が示された。

 また、遺伝子配列からは毛が抜けやすい傾向にあったことが見て取れ、成人時には既に頭髪がなかった可能性もある。

「比較的明確な研究結果であるため、見つかったミイラに毛髪がなかった理由も説明できる」と研究論文の共同執筆者、アルベルト・ジンク(Albert Zink)氏は指摘した。

 これまでの研究でエッツィーは、身長160センチ、体重は50キロで、死亡時の年齢は45歳前後と推定されている。胸郭と左の肩甲骨の間にある大血管が矢で切断されたことで命を落としたと考えられている。(c)AFP