【8月16日 AFP】2009年公開の大ヒット映画『しあわせの隠れ場所(The Blind Side)』で半生が描かれた元米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手のマイケル・オアー(Michael Oher)氏(37)が、当時10代だった自身を引き取ったテネシー州に住む夫妻を提訴していることが分かった。

 14日に提出された訴状によれば、オアー氏は夫妻から養子縁組をすると聞かされていたが、実際には後見制度が利用されていたと主張。自身は夫妻に騙されて財産管理の権利を放棄させられたが、逆に夫妻は後見制度によって自身の名前を使い、金銭的な利益を得ていたと訴えている。

 オアー氏は、夫妻が同映画のヒットにより数百万ドルを手にしたと指摘し、後見制度の取り消しや損害賠償の支払いなどを求めている。

 提訴を受け、夫のショーン・テューイ(Sean Tuohy)氏は地元紙に対し「ショックを受けている」とコメント。後見制度の利用については認めたが、18歳以上の人を養子に取るのは法的に不可能で、後見制度が唯一の選択肢だという弁護士のアドバイスを受け、合意は誠実に結ばれたものだと主張した。

 後見制度を正式に適用する際には、オアー氏の生物学上の母親に裁判所まで来てもらったと説明し、映画の成功から得た金銭もほとんどないと述べた。

 養護施設で少年時代の大半を過ごしたオアー氏が夫妻に引き取られ、NFL入りを果たすまでのストーリーを描いた『しあわせの隠れ場所』は興行収入3億ドル(約436億円)を記録し、妻のリー・アン(Leigh Anne Tuohy)氏を演じたサンドラ・ブロック(Sandra Bullock)さんはアカデミー賞(Academy Awards)の主演女優賞を受賞した。

 オアー氏はNFLで8シーズンを過ごし、ボルティモア・レイヴンズ(Baltimore Ravens)時代にはスーパーボウル(Super Bowl)制覇も経験した。(c)AFP