【8月16日 AFP】ドイツの警察は15日、首都ベルリンにあるナチス・ドイツ(Nazi)に殺害された性的少数者(LGBT)の追悼碑に、男が同性愛嫌悪的なビラを貼り、火をつけようとしたと発表した。

 警察によると、事件が起きたのは12日早朝。男は追悼碑に火の付いた物体を投げ付けたものの、着火しなかった。また、キリスト教の聖書にある同性愛と罰に関する文章を引用したビラを貼り付けた。

 追悼碑はコンクリート製で、男性2人がキスをする映像がループ再生されるモニターが埋め込まれている。

 警備員が破壊行為を行っている男を発見し、警察に通報した。男は逃走しており、刑事事件として捜査が行われている。

 この追悼碑は、ナチス政権下(1933~45年)に迫害、拷問、殺害されたLGBTの犠牲者のためのもの。独議会の承認の元制作され2008年に完成した。

 ベルリン中心部の公園ティアガルテン(Tiergarten)のホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)犠牲者のための追悼碑の近くに設置されている。

 ナチス・ドイツは5000~1万5000人のLGBTを強制収容所に送ったと推定される。収容所にはユダヤ人、反体制派、ロマ人、エホバの証人信者など望ましくないと考えられた人々もいた。

 収容所に着くと一部の人は即座に殺害された。残りの人たちはピンク色の三角形の印を着けることを強要され、最下層グループとして扱われた。飢えや病気、虐待、極度の疲労で大半が死亡し、生き残ったのはごくわずかだった。

 警察によると、12日には別の追悼碑が放火される事件もあった。(c)AFP