【8月16日 CNS】最近、中国船舶集団(CSSC)傘下の上海外高橋造船(Shanghai Waigaoqiao Shipbuilding)が建造した中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都号(Adora Magic City)」が上海市に停泊し、7日間の初の試験航行を終えた。

「愛達・魔都号」は2019年に建造が始まり、4年近くの歳月を経て完成され、総額7億7000万ドル(約1120億円)が投じられた。同クルーズ船は13万5500トンの重量、24層の高さ、2826室の船室を持ち、6500人以上を収容が可能だ。今年6月に順調にドックを出発し、7月と8月に2回の試験航行を実施し、今年末の完成・引き渡しを見込んでいる。引き渡し後、「愛達・魔都号」は中国船舶集団嘉年華郵輪によって運航される。同クルーズ船は上海を拠点に、日本や東南アジア航路を航行し、将来的には「海上シルクロード」の中・長距離航路の運航も開始する計画だ。

 中国産の大型クルーズ船の背後には、非常に大きな市場が潜在しており、クルーズ船製造産業だけでなく、クルーズ船観光産業も含まれており、経済規模は1兆元(約20億円)に達する可能性がある。

 現在、外国の大型クルーズ船建造企業の生産能力は需要に追いつけないほど不足している。そのため、中国の造船業は迅速に構造転換・高度化を図り、高級大型クルーズ船の建造に焦点を当てている。

 大型クルーズ船はまさに巨大なシステム工学を伴う。中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都号」には、合計で2500万個の部品があり、使用されるケーブルの長さは4300キロにも達している。クルーズ船プロジェクトチームは、クルーズ船のフルライフサイクルの三大コアテクノロジーを攻略し、一連の技術革新の成果を形成し、中国国内の多くの技術空白を埋めた。

 中国は、国産の大型クルーズ船の建造の推進を通じ、製造業の発展を促進すると同時に、クルーズ船観光産業を品質重視の方向へさらに発展させている。情報筋によると、このクルーズ船の内部は5つ星ホテルを超える高級設備を持ち、中国免税品集団(CDFG)と提携して海上最大の免税店を設置する他、中国電信(チャイナテレコム、China Telecom)上海支社と協力して世界初の5Gクルーズ船を打ち出し、清華大学(Tsinghua University)美術学院と協力して「海上シルクロード」芸術空間を設けるなどの取り組みを進める計画だ。

 ウォッチャーは、C919大型旅客機であろうと、大型クルーズ船「愛達・魔都号」であろうと、中国は「自主的イノベーション」を追求する際に、国産率だけでなく、製品の制御力とイノベーション力に重点を置いていると指摘している。また、中国は協力モデルになじみを深め、国産化に対する認識もより実務的になっているとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News