10日午前9時基準、朝鮮半島近隣のレーダー映像(韓国気象庁提供)(c)news1
10日午前9時基準、朝鮮半島近隣のレーダー映像(韓国気象庁提供)(c)news1

【08月13日 KOREA WAVE】「これまで朝鮮半島に影響を与えたすべての台風データを数日間、何度も確認した。こんな経路はなかった」

韓国気象庁のパク・ジョンミン予報分析官は、台風6号(カヌーン)が朝鮮半島へ向かうことが確定した7日、こう語った。中国・上海へ向かうか、日本の九州地方に上陸するか、なかなかはっきりしなかったが、カーヌンがとった進路は、朝鮮半島、それも「真ん中を縦断」だった。

◇半島通過に21時間

台風6号は観測史上例のない経路で朝鮮半島に上陸し、韓国を16時間、北朝鮮を5時間の計21時間で通過した。特徴は他にもある。速度は亀のように遅く、上陸直前まで勢力を増した。滞在時間も長かった。

カーヌンは先月28日に台風となり、約14日間、台風のままでいた。通常5~7日の寿命と比較すると、2倍ほど長く活動したわけだ。これはカーヌンの進路が「ジグザグ」だったためだ。

カーヌンは先月28日から今月3日までの約6日間、上海方面に直進した。その後、4日まで人が歩く速度で進み、5日ごろ本格的な北上を始めた。

当初、九州を縦断して日本海に出ると予測されていた進路は、1日で西よりに変わった。その後、カーヌンは経路を変えずに朝鮮半島中央を縦断した。

◇二大高気圧の「争い」

カーヌンの直進は、朝鮮半島を挟んで「争い」を繰り広げている二大高気圧のためだ。

上海方面に移動していたカーヌンは3~4日、大陸性のチベット高気圧に阻まれて東シナ海で停止した。その後の東進は、偏西風などの影響が大きかった。しかし、日本列島へ向かうも太平洋高気圧に阻まれ、北上した。朝鮮半島行きは気圧配置上、避けられなかった。

カーヌンは智異山の麓を通過した後、速度が時速30キロ台になったが、以後、大部分は時速20キロ台だった。速度が時速30~50キロまで速くなる通常の台風とは異なり、ゆっくりと縦断を続けた。これは、通常、北側で台風を導くジェット気流の指向流がなかったためだ。

極地方で台風をつかんで引っ張る力がなく、カーヌンはエネルギーをゆっくり発散させながらサイのように愚直に北上した。ノロノロとした速度のせいで、カーヌンは上陸地点である慶尚地方と、地形効果が加わった江原道嶺東地方に最も多くのエネルギーを注いだ。

さらに、南海岸で平年より高い水温がカーヌンに絶えずエネルギーを供給した点も、台風が上陸直前まで勢力を強めたことにつながった。気象庁によると、朝鮮半島周辺の海面温度は平年より1~2度高い29度に達した。

10日、朝鮮半島の日降水量(気象庁提供)(c)news1
10日、朝鮮半島の日降水量(気象庁提供)(c)news1

◇今後どこでも上陸する可能性

カーヌンが上陸し通過するまで時間がかかり、全国のほとんどの地域で雨が降った。束草には402.8ミリの雨が降り、三陟には387.0ミリ、梁山350.0ミリ、江陵346.9ミリ、北昌原338.6ミリの雨が降った。

特に、最も多くの雨が降った束草には10日午後2時5分からの1時間で91.3ミリという非常に激しい雨が降った。緊急災難メール送信水準の豪雨で、台風による1時間降水量としては歴代7位になる。ただ、緊急災難メールは首都圏でテスト運営中であるため、束草地域に発信されなかった。

前例のない今回の台風の進路は、今後どこでも台風が上陸する可能性があることを示唆している。今回の進路予測は比較的正確だったが、「台風の道」を作り出す太平洋高気圧に関する研究は依然として不足している状態だ。さらに、気候変動に伴う影響なども追跡・分析が必要だ。

韓国気象庁と国立気象科学院は、太平洋高気圧の分析を強化するために気象観測船と海洋気象観測装備を充実させる方針だ。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News