【8月20日 AFP】(写真追加)中国東北部瀋陽(Shenyang)郊外には建設工事が中断となった邸宅の数々が放置されたままとなっている。壊れかけたベランダや草が茂ったアーチは、過剰供給で機能不全に陥った不動産市場の象徴だ。現在、建物と建物の間には柵が設けられ、そこでは家畜の牛が飼育されている。

 不動産大手の緑地控股集団(Greenland Group)は2010年、人口900万人の工業都市である瀋陽の丘陵地帯で、この開発プロジェクト「ステート・ゲスト・マンションズ(State Guest Mansions)」に着手した。当時、不動産部門は急成長を見せていた。

 だがそれから約2年後、地方政府来訪者向けの豪華な設備を備えた、欧州建築風の邸宅計260棟のハウジングプロジェクトは頓挫した。

 富裕層や政府関係者のために庭園が整備される予定となっていた土地は、地元農家が畑として耕している。簡易なニワトリ小屋も設置され、各戸に完備された自動車2台分のガレージは農機具をしまっておく物置と化した。辺りには野犬もうろついている。

 プロジェクトが頓挫した理由はいまだ明らかにされておらず、地元住民も何かしらのうさんくささを感じている。

 ある農民の男性(45)は「役人の汚職が関係しているに違いない」とAFPに話し、「資金が打ち切られ、それまで監視の目が届いていなかった開発プロジェクトにメスが入った。それで中断された」と続けた。

 緑地控股集団の地域事務所に取材を申し込んだが、AFPへの返答は今のところまだない。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は2012年に政権の座に就いて以来、中国共産党の汚職を徹底的に取り締まった。これにより、過度なぜいたくを嫌う社会的風潮が醸成されることとなった。

 中国の不動産セクターは、2010年代の終わりまで好況が続いた。だが政府は2020年、融資厳格化の方針を打ち出し、当時横行していた高レバレッジ経営に目を光らせた。その結果、一部開発業者は巨額の債務と需要低迷に直面することなり、瀋陽にあるようなゴーストタウンが、国内各地の都市で見られるようになった。

 中断した建設プロジェクトがどれだけ存在しているかについての公式データは公開されていない。ただ、上海の公的団体と関係のある研究グループの報告書によると、中国全土の住宅計画のうち、2022年時点で約4%弱が中断されたままとなっているという。

 これは土地面積に換算すると、2億3100万平方メートルに相当するという。