【8⽉4⽇ Peopleʼs Daily】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は「われわれが必要な重要措置を先送りし続ければ、壊滅的な状況に陥る」と警告した。しかし、先進国はその責任を直視せず、約束を実行していない。

 英リーズ大学(University of Leeds)などの研究によると、世界の過剰炭素排出量の約90%は米国などの先進国が発生させたものだ。だが、先進国はスローガンを叫び続けるだけで、責務を途上国に転嫁している。これは国連気候変動枠組条約とパリ協定(Paris Agreement)で明確化された「共通だが差異ある責任の原則」に完全に反する。

 気候変動枠組条約とパリ協定は、先進国は気候変動対策に出資せねばならないと定めた。グテレス事務総長は、気候変動対策での途上国の資金需要は2030年までに年間3400億ドル(約48兆円)に跳ね上がるとの見方を示した。だが先進国は、2020年までに毎年1000億ドル(約14兆円)の気候資金を発展途上国に提供する14年前の約束すら果たしていない。11月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)のアル・ジャーベル(Sultan Ahmed Al Jaber)議長は資金不足が著しいとして「ばんそうこうと鎮痛剤だけで大手術が必要な問題を解決することは不可能だ」と述べた。

 近年、一部の先進国の気候政策は後退し、炭素排出をかえって増やしている。米国政府は「透明性」「責任」「国際ルールの尊重」を繰り返しているが、一貫した気候変動対策政策を欠いており、「京都議定書(Kyoto Protocol)」を批准せず、一時は「パリ協定」から脱退し、世界の気候対策の障害になった。米国はまた、自国のエネルギー転換を推進することを口実に、各種の不公平な措置を通じて、数千億ドルを投じて自国の製造業に高額の補助金を提供し、他国のグリーン産業に対しては貿易障壁を作って、発展途上国がグリーン技術を獲得する道を遮断している。これらの行為は世界貿易機関(WTO)のルールに違反し、世界のグリーン産業チェーンなどを混乱させ、各国の努力を台無しにするものだ。

 中国は行動派だ。中国は2030年までに二酸化炭素排出を減少に転じさせ、2060年までに排出を差し引きゼロにする目標を発表し、一連の努力を通じて風力発電や太陽光発電の規模、さらに新エネルギー車の生産・販売台数をすでに世界トップにした。米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)の先日の記事は、化石燃料に代わるクリーンエネルギーの採用ペースに関して、中国がリーダーの一つになりつつあると指摘した。中国はさらに、気候変動対応の南南協力を深化させ続け、他の発展途上国の気候変動対応をできる限り援助している。

 気候変動への対応は人類共通の事業だ。気候変動問題で自国本位の功利主義的な考え方をしていたのでは、最終的に他者も自らも損ねることになる。先進国はその歴史的責任を直視し、可能な限り早期に約束を履行し、資金、技術、能力面で発展途上国への支援を強化し、発展途上国と手を携えて世界気候対策を進めるべきだ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News