【検証】渋谷に「ストップ・ゼレンスキー」看板画像は加工 ネットで拡散
このニュースをシェア
【8月3日 AFP】「Stop war(戦争を止めろ)」「Stop Zelenskyy(ゼレンスキーを止めろ、つづりはママ)」と書かれた日本の電子看板の動画がネットで拡散されている。だが、この動画は加工されたものだ。もともとは、反ウクライナメッセージではなく人物が映っており、ロシアによる侵攻開始前の2020年にユーチューブ(YouTube)に投稿された。
カナダの保守系ウェブサイト「ポスト・ミレニアル(Post Millennial)」は7月31日、「日本には『ゼレンスキーを止めろ、戦争を止めろ』と書かれた看板がある」と投稿した。同サイトは以前にも偽情報を広めている。
同様の内容は、X(旧ツイッター〈Twitter〉)やフェイスブック(Facebook)、ティックトック(TikTok)などに投稿され、スペイン語、中国語、イタリア語でも拡散された。
しかし、問題の動画と合致する映像は3年近く前に投稿されたものだ。同一の電子看板が映っているものの、ロシアによるウクライナ侵攻やウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領については一切触れられていない。
AFPは、アプリ「グーグル・レンズ(Google Lens)」で画像検索を行い「Night Walk in Tokyo Shibuya(東京・渋谷の夜の散歩)」と題されたオリジナル動画を発見した。
この動画がユーチューブに投稿されたのは、2020年10月18日だった。ロシアはその1年以上あとの2022年2月にウクライナ侵攻を開始した。
21分20秒ごろから、拡散されている加工動画と同じ車、バイク、歩行者、看板、映画のポスターが映っている。
AFPは、この動画が撮られた場所は渋谷区にある渋谷東映プラザ(Shibuya Toei Plaza)付近の交差点と特定。映画館がある建物に張られたポスターは、2020年に封切られた映画『みをつくし料理帖(Mio's Cookbook)』と『小説の神様 君としか描けない物語(God of Novels)』のものだ。
加工された動画がネットで拡散される数日前の7月28日、AFPは、日本の経済産業省が対ロシア制裁を強化するため、電気自動車(EV)などのロシア向け輸出を禁止すると発表したと報じた。
AFPはこれまでにも、米ニューヨークでゼレンスキー氏を批判する横断幕が撮影された動画を検証し、加工されたものだと明らかにしている。(c)AFP