メキシコの絶景鉄道「チェペ・エクスプレス」
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【10月15日 AFP】悪名高い麻薬カルテルの拠点から、先住民集落がある険しい山あいまで。メキシコの銅渓谷(コッパー・キャニオン、Copper Canyon)を巡る壮大な旅を味わえるのが旅客鉄道「チェペ・エクスプレス(Chepe Express)」だ。
北西部シナロア(Sinaloa)州ロスモチス(Los Mochis)を出発し、チワワ(Chihuahua)州山中の町クレエル(Creel)へと向かう約350キロの旅は、米誌ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)が世界最高の鉄道旅行の一つに挙げている。
麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の創設者「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者が、2016年に捕らえられたのはこのロスモチスだった。
都市鉄道網とテキーラ生産地ハリスコ(Jalisco)の短い観光鉄道を除けば、エル・チェペはメキシコ唯一の旅客列車だ。
列車はまずトウモロコシ畑が広がるシナロアの肥沃(ひよく)な平原を横切り、山肌をつたうようにして険しい峡谷を登る。通過する橋は37本、トンネルは86か所に上る。
蛇行していた川は次第に白いしぶきを上げる急流に、平原のサボテンは山地のマツに変わる。クリエル駅に停車したときには9時間以上たっていた。同じルートで停車駅数がもっと多いチェペ・リージョナル(Chepe Regional)号もある。
この山地の魅力の一つは、ララムリ(Raramuri)、またはタラウマラ(Tarahumara)と呼ばれる長距離走の能力で有名な先住民だ。3月には深さ1600メートルを超える渓谷で、外国人を含む数百人のアスリートが参加するウルトラマラソンが行われた。
ロスモチスの医師フロール・コラレス・チャンさん(61)は、夫と10代の息子とチェペ・エクスプレスに乗り込んでいた。「長旅だけど、それだけの価値はある。私たちは何度か乗っているが、飽きることはない」 (c)AFP/Daniel Rook