【7月31日 AFP】世界で初めて、1度の旅行で飛行機を使わずにすべての国を訪れたとするデンマーク人男性、トルビョン・ピーダスン(Torbjorn Pedersen)さん(44)が先週、10年ぶりに帰国した。203か国目となった最後の訪問国は、5月下旬に訪れたモルディブだった。

 デンマークの港湾都市オーフス(Aarhus)で26日、コンテナ船から降り立ったピーダスンさんは「これをやり遂げて帰って来るのが夢だった。きょうその日が来た」とAFPに語った。

 その一方で、「これからどうするか分からないことだらけで、複雑な気持ち」だとし、仕事の再開や日常生活への適応が不安だと述べ、ほろ苦い心境を吐露した。

「トール(Thor)」の愛称で知られるピーダスンさんは、国連(UN)平和維持活動(PKO)や海運業界でのキャリアを経て、2013年10月10日、今回の世界旅行に出発。飛行機は一切使わず、列車、バス、船、あるいは徒歩で移動した。

 20年1月にミクロネシアを出発後、次に向かった香港では新型コロナウイルスの流行で2年間足止めされた。国境再開後は、パラオを足掛かりにオセアニアから太平洋の国々を巡った。

 ブログには「すべての国に2回行った人物が3人。1度の旅行ですべての国に行った人物が2人。さらに今、それを飛行機なしで1人が成し遂げた。感無量だ。2人目の幸運を祈る」と記している。

 ギネス世界記録(Guinness World Records)によると、飛行機を使わずに地球一周した最初の人物は英国のグラハム・ヒューズ(Graham Hughes)さんだが、1度の旅行ではなく2回の帰国を挟んでいる。

 ピーダスンさんはパートナーの女性と、移動しながらの遠距離を乗り越えて交際を続けてきた。この10年間、女性はピーダスンさんの旅先を27回訪れた。10回目の時にピーダスンさんからプロポーズしたが、コロナ下でオンライン結婚を余儀なくされた。

 旅のきっかけは、父親がメールで送ってきた1本の記事だった。「最長でも4年、早ければ3年半で完了できると思っていた」という。ピーダスンさんの世界旅行の様子は、ソーシャルメディアとブログに記録されている。(c)AFP