■快適な旅

 コンサルタントのアストリッド・ライターさん(27)は、ウィーン―チューリヒ間の夜行を予約した。

「起きたら別の国というのがいい」「すべてうまくいけばとても快適な旅行手段」だと話した。

 また、「OeBB以外の会社も夜行列車の運行に乗り出し、もっと速いサービスも利用できるようにしてほしい」とも話した。

 リーダー氏は、自社の夜行列車サービスについて「お客さんに提供したいと望んでいる水準には必ずしも達していない」と認める。

「これまでは25年以上にわたって需要もなく、要望もなかった」。そのため、夜行列車の製造は途絶えていたという。

 2018年になって、OeBBは夜行部門の増強と既存の老朽化車両の入れ替えを図るため独シーメンス(Siemens)に33本を発注。現代的なデザインで、プライバシーを重視し、シャワー設備を増やした新車両の列車は、今年末に投入される予定だ。

■航空機との競争も

 国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)は最近公表した報告書で、「非合理的なほど安価」な一部の格安航空便と競争するのは困難だと指摘。航空業界は政府補助金や税制優遇を受けていると主張した。

 独シンクタンク、アゴラ・エネルギーベンデ(Agora Energiewende)のアナリスト、フィリップ・コゾク(Philipp Kosok)氏は、対照的に鉄道部門はインフラ利用に際してなど「各種の税や利用料」を負担せざるを得ないと解説。夜間でも貨物列車が運行されているため鉄道インフラは過密状態で、夜行列車の運行は「極めて難しく複雑で、コスト高」だと話した。

 そんな中、仏新興企業ミッドナイト・トレインズ(Midnight Trains)の共同創設者、アドリアン・オーモン(Adrien Aumont)氏は、夜行列車の「刷新」を図り、「航空機に対抗できる真に競争力のある交通手段」に育て上げるつもりだと語った。

 同社は夜行列車メーカーと提携し、2025年にパリ―ミラノ―ベネチア路線のサービスを復活させる方針だ。

「(航空便を利用せずに)欧州を旅するのはほぼ不可能だと気付いた。消費者は飛行機利用をやめるよう求められているが、代替手段については必ずしも提示されていない」と指摘。現在の鉄道サービスは伝説の豪華列車、オリエント急行(Orient Express)と比べるべくもなく、「劣化してしまっている」と酷評した。(c)AFP/Anne BEADE with Amandine HESS