【7月30日 AFP】エーゲ海(Aegean Sea)に浮かぶ観光地として人気のギリシャ・サントリーニ(Santorini)島沖。多くの魚が死ぬ原因ともなっている「ゴースト(幽霊)ネット」と呼ばれる海底に沈んだ漁網を、ボランティアのダイバーが回収している。

 最大水深45メートルまで潜り、遺棄された網やタイヤ、プラ袋などを回収する。ダイバーの一人、ミカ・パナヨトプルさんは幽霊漁網は、「魚にとっては罠のようなものだ」と指摘する。

 島の首長アントニス・シガラス(Antonis Sigalas)氏は「遺棄された網が半世紀にわたり蓄積され、何千匹もの魚を殺し、海洋動植物に計り知れない損害を与えてきた」と話した。

 網の回収を行っているギリシャの環境NGO「エジアン・リブレス(Aegean Rebreath)」の共同設立者ジョージ・サレラコス(George Sarelakos)氏は、世界の海洋汚染の約1割は遺棄された漁網によるものだと話した。

 多くの人は海底の状況を知らず、これまで問題が表面化していなかったと指摘する。

「エジアン・リブレス」のボランティア300人は過去5年で、同国海域から28トン以上の漁網を回収。海中で多くの問題を引き起こすプラ袋も数十万個見つかった。

 ギリシャでは2018年からプラ袋に課税されているが、商店は変わらずプラ袋を配布している。

 だが、サレラコス氏は改善していることもあると感じている。「漁師たちの考え方に変化が生まれた。今では(漁網を)リサイクルしている」と話した。

 地元のベテラン漁師(71)は、「海の恵みが枯渇しつつある」という認識が広がっていると語った。

「漁では十分な収入を得られず、設置する網を増やす。すると、魚の数が減る。悪循環だ」と話した。

 映像は6月3~4日撮影。(c)AFP/Will VASSILOPOULO