放射性物質汚染のリスクを押し付ける日本の身勝手さ
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【7⽉30⽇ Peopleʼs Daily】日本の福島原発汚染水は130万トン以上に達し、60種類以上の放射性物質を含んでいる。日本が進める海洋放出の期間は、30年間あるいはそれ以上にわたる。原発汚染水がひとたび海洋に放出されれば、含まれる放射性物質は海の隅々にまで拡散する。日本だけの問題では絶対にない。全世界の海洋環境と人びとの健康に関わることは明らかだ。日本は、全ての利害関係者および国際社会の懸念が適切に解決されるまで、原発汚染水の海洋放出を始めるべきでない。しかし、日本は過去2年余りの間、独断専行し、原発汚染水の海洋放出を一方的かつ強引に推し進めることで、予測不可能なリスクを国際社会に押し付ける身勝手さを余すところなく示してきた。
日本は福島原発汚染水の海洋放出について、近隣諸国を含む利害関係者の意見を十分に求めるのは当然だ。国連海洋法条約は、各国は海洋環境汚染の切迫した危険性を認識した場合、直ちに他の国々および管轄する国際機関に通知し、汚染の影響を除去し、あるいは損害を防止または軽減するために、可能な限り協力せねばならないと明確に定めている。日本は国連海洋法条約の締約国として、また海洋環境汚染の責任当事者として、前提条件なしに近隣諸国および国際社会と協議し、原発汚染水の穏当かつ安全な処分案を各方面と協力して検討すべきだ。原発汚染水の海洋放出を強引に推し進めるいかなる行為も、国連海洋法条約の原則に反する。
日本は国際社会、とりわけ利害関係者と十分な協議を行わないばかりか、原発汚染水の海洋放出計画をひたすら推し進めている。日本政府は2021年4月に福島原発汚染水を海洋に放出すると一方的に発表し、2022年7月には国際社会、特に近隣諸国など利害関係者の強い反対も顧みず、海洋放出計画を正式承認し、海洋放出に向けた工事などの準備作業を加速した。今年3月には、今年の春から夏にかけての福島原発汚染水の海洋放出開始は「延期できない」と発表した。日本政府は今年6月、各方面の強い反対にも関わらず、原発汚染水海洋放出設備を試運転し、原発汚染水海洋放出の一方的な強行に向けてさらに一歩を踏み出した。そして今年7月になり、「福島原発汚染水はこの夏に放出を開始する。この計画に変更はない」との主張を繰り返した。日本政府のこの2年間あまりの言動は、国際社会に対して海洋放出とよる日本側の想定結果を受け入れることを一貫して要求し、協議する誠意が全くないことを、十分に示している。
日本政府および東京電力はかつて、関係者の理解なしに原発汚染水の海洋放出を開始することはないと約束したが、実際の行動はその約束から徐々に乖離してきた。そうした日本の言動は、すでに日本国民や近隣諸国など利害関係者の忍耐力の限界を超えた。太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands Forum)のヘンリー・プナ(Henry Puna)事務局長は、「日本政府は、原発汚染水の処分について太平洋島嶼(とうしょ)国と意思疎通を維持するとともに、独立した検証可能な科学的証拠を全て提供すると約束した。遺憾ながら、日本政府は協力していない。彼らが意図していることは、これまでの約束に反する」と述べた。太平洋島嶼国は、日本の原発汚染水海洋放出計画に関する国際協議は国際原子力機関(IAEA)に限定されるべきではなく、国連海洋法条約や、海洋投棄を規制するために1972年に制定されたロンドン条約などの場でも行われるべきと提言した。国際社会は太平洋諸島フォーラムの要求を重視すべきだ。
日本は、自国外からの圧力に屈してIAEAに審査と報告書作成を要請したが、IAEAを尊重する姿勢を示すことはなかった。日本は原発汚染水の海洋放出を行うことをあらかじめ決めており、IAEAによる審査と報告書作成よりも自らの海洋放出計画を先行させた。日本は昨年7月、原発汚染水の海洋放出計画を正式に承認した。この決定は、IAEAのチームがまだ審査と評価を行っている時期に強引に行ったものだ。日本は、IAEAのチームが来日して視察と評価を行う直前の今年1月に、今春から今夏にかけて海洋放出を開始すると発表した。また、日本がIAEAによる審査の権限の範囲を厳しく制限したため、福島原発汚染水の処分に関するIAEA包括報告書の結論には限界があり、一面的だ。日本は自らの行動により、念頭にあるのは計画に従って海洋放出を推し進めることだけであり、IAEAおよびそのチームの権威を全く尊重していないことを、世界にはっきりと認識させた。
原発汚染水の処分問題において、日本は誠意ある協議という原則に従うどころか、日本側の提案した科学に基づく専門家同士の対話を中国側が再三拒否したと主張した。このことは、日本には原発汚染水の海洋放出の強行という誤った決定を再考するつもりのないことを示す。日本は自問すべきだ。日本による海洋放出という結論を前提にした対話や協議に、いったい何の意味があるのか。日本に本当に協議をする誠意があるのなら、海洋放出開始の一時停止を宣言し、近隣諸国など利害関係者が原発汚染水の独自に採取して分析することを認め、海洋放出以外のあらゆる可能な処分方法を検討することに同意すべきだ。
原発汚染水の処分問題において、日本は国際社会の理にかなった懸念を直視し、全世界の海洋環境と人びとの健康に対して責任を持つ態度で、周辺諸国を含む利害関係者と十分かつ有意義な協議を行うべきだ。原発汚染水の海洋放出を強引に推し進め続ければ、日本はさらに強い反発を招くだけだ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News