■父の遺体

 ロシア軍が民間人を虐殺したとされるキーウ近郊のブチャ(Bucha)。ウクライナ軍が街を奪還したとき、ナザール・ガブリリュクさん(18)の父親は他の大勢の市民と同じように遺体で発見された。

「兄の友人が庭で、3人の遺体を見つけた」とナザールさんはブチャの自宅で語った。街がロシアに占領されていた間は、ウクライナ西部に避難していた。今は祖母と暮らしている。

「戻って来てみると、通りの至る所が爆撃されていた。道を歩くと何人もの遺体が横たわっていた。側溝に2人、その下にももう1人死んでいた」

 ナザールさんの父親は、おじらと共に地面に倒れ、冷たくなっていた。

 ナザールさんの祖母オルガさんは、携帯電話を取り出して息子の遺体の写真を見せ、「歯が折れていたから、殴られたのかもしれない。私たちには何も分からない」と言った。

 ブチャにやって来たロシア軍は、数日でキーウを占領しウクライナに勝つという見込みをすぐに失ったと話すナザールさん。「それで、平和な人々を追い回したんだ」と語った。(c)AFP/Sergii VOLSKYI