【7月28日 AFP】オランダ・アムステルダムやクロアチア・ドブロブニク(Dubrovnik)など欧州の人気観光地は毎夏、街にあふれる観光客を抑制・分散させようとしている。

 格安航空会社や民泊仲介大手エアビーアンドビー(Airbnb)の利用が拡大する中、欧州各都市のオーバーツーリズム対策をまとめた。

■ドブロブニク

 アドリア海(Adriatic Sea)沿岸に面した中世の要塞(ようさい)都市ドブロブニクは、欧州で最も混雑している街の一つだ。旧市街は観光客であふれかえり、文字通り身動きが取れないこともある。

 2011年に城壁内が米ケーブルテレビ局HBOの人気ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」の撮影場所となったことから、観光客が急増した。

 ドブロブニクの人口は4万1000人だが、2019年には史上最高の140万人が訪れ、合わせて440万泊した。

 地元当局は同年、クルーズ船の来航を1日2隻まで、乗客は1隻につき4000人までに制限した。

 22年には訪問者数を約100万人超にまで抑えることができた。

■バルセロナ

 スペイン・バルセロナ(Barcelona)には建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)の最高傑作があり、同国最高峰のサッカーチームが拠点を置く。

 一時、違法民泊施設が増え、地元住民の手が届かないほどに住宅価格が高騰した。住宅問題に取り組んできた元活動家で、15~23年6月まで市長を務めたアダ・クラウ(Ada Colau)氏は違法民泊の取り締まりを実施。

 歴史あるラ・ボケリア (La Boqueria)市場については、最繁時の団体ツアー客の立ち入りを禁じた。

 宿泊客は19年の1200万人から22年には970万人まで減少した。

■ベネチア

 人口5万人のイタリア・ベネチア(Venice)には19年、550万人もの観光客が押し寄せた。同市はここ数年、観光客を抑える政策を進めている。

 21年には、ベネチア中心部への大型クルーズ船の入港を禁止した。また、すでに導入されている宿泊税に加え、日帰り旅行者への訪問税の導入も検討されている。

 だが、観光収入が激減し、移動の自由が損なわれるとの反発があり、実現していない。

■アムステルダム

 アムステルダムは長年、騒々しいスタッグパーティー(結婚前夜に男友達が集まって行う花婿が主役のパーティー)とドラッグ、そして性産業の街という評判を拭い去ろうとしている。

 同市には年2000万人もの観光客が訪れるが、こうした客がその一部を占める。

 今年3月には、泥酔して騒ぐ若い英国人男性を減らすためのキャンペーンが開始された。直接「来るな」と呼びかけ、羽目を外すと逮捕される恐れがあると警告している。

 市は7月下旬、中心部にあるクルーズ船用の主要ターミナルを閉鎖することを決めた。

 さらに、赤線地区の路上でのマリフアナの喫煙を禁じるなど、静かな街を取り戻すための対策が講じられている。(c)AFP/Janet MCEVOY