【7月28日 東方新報】電気自動車(EV)など新エネルギー車の生産台数で世界一を誇る中国。中国自動車工業協会の統計によると、新エネルギー車の国内累計生産台数が7月3日に2000万台に達した。中国では新エネルギー車の生産開始から2022年2月に1000万台に達するまで15年を要したが、そこからわずか17か月で2000万台を突破。工業情報省の辛国斌(Xin Guobing)次官は「この70年間、中国の自動車産業はゼロからスタートし、弱小から強大に成長した。2000万台目の節目は歴史的な意義がある」と述べた。

 中国では電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を新エネルギー車として、ガソリン車などと区別。購入時に補助金を出すなど、政府主導で販売や製造を後押ししている。

 中国が新エネルギー車開発に力を入れるのは、経済成長の「エンジン役」を期待しているためだ。自動車全体の販売台数が伸び悩む中、新エネルギー車は躍進を続けている。今年上半期、全国で新規登録された自動車は前年同期比1.9%増の1688万台。このうち新エネルギー車は41.6%増の312万8000台で、過去最高を記録した。

 中国製自動車の輸出は急増しており、2022年の輸出台数は311万台でドイツを上回り世界2位に浮上。このうち新エネルギー車は68万台を占めた。今年1~4月の輸出台数は前年同期比89.2%増の137万台と、ついに日本を抜いて世界一になった。

 中国が新エネルギー車に注力するのは、技術的要因もある。中国はガソリン車の開発では、エンジン、トランスミッション、シャシーの三大部品でドイツや日本などに大きく後れを取っている。一方で新エネルギー車に必要な電池、電動機、電子制御技術では強みを発揮しているからだ。

 また、中国政府は2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少に転じさせ(カーボンピークアウト)、2060年までにCO2排出量ゼロを実現する(カーボンニュートラル)と公表している。中国の自動車保有台数は4億2600万台に増え、保有台数100万台を超える都市は88を数える。自動車が増え続ける中、公約を実現するためには、新エネルギー車の普及が欠かせない。

 当面の課題は、新エネルギー車の充電問題だ。都市部でも充電スタンドはまだ十分と言えず、「1時間充電するために行列で4時間待つ」という事態すらある。長距離運転のバッテリー切れの不安から「高速道路に恐くて乗れない」という声もある。また、新エネルギー車の普及率を上げるには地方での販売を増やす必要があるが、小規模都市では充電スタンドはまだまだ少ない。

 廃バッテリーのリサイクルはコストがかかるため進んでおらず、正規ルート以外で不正処理されたり不法投棄されたりする問題も出ている。新エネルギー車をさらに普及させるためには、アクセルを踏んで生産台数を増やすだけでなく、潤滑油となるバックアップ体制が求められている。(c)東方新報/AFPBB News