【7月21日 AFP】英領フォークランド諸島(Falkland Islands)について、欧州連合(EU)がアルゼンチン側の呼称であるスペイン語名「マルビナス諸島(Islas Malvinas)」を使用したことに対し、英政府が20日、異議を唱えた。同諸島の領有権をめぐっては、1982年に両国の間で「フォークランド紛争」が起きた。

 EUは中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)との首脳会議後の声明で、「EUはマルビナス諸島/フォークランド諸島の主権問題について、紛争の平和的解決における対話と国際法尊重の重要性に基づくCELACの歴史的立場に留意した」と述べた。

 声明の英語版では英国側の呼称とアルゼンチン側の呼称が併記されていたが、スペイン語版では「マルビナス諸島」としか記載されていなかった。

 これに対し英国のジェームス・クレバリー(James Cleverly)外相は、「フォークランド諸島の住民には、自らの未来を選ぶ権利がある」「住民の99.8%は、英国の家族の一員になることに投票した。アルゼンチンとEUは、住民の民主的な選択に耳を傾けるべきだ」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 リシ・スナク(Rishi Sunak)英首相の報道官は「明確にしておきたい。フォークランド諸島は英国領だ」「住民が自ら選択したことだ」と強調。「EUの言葉選びは遺憾であり、それによってフォークランド諸島に対するEUの立場が何ら変わっていないことが露呈した」と批判した。

 一方、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernandez)大統領はEUの声明を歓迎し、「マルビナスは国是だ」「歴史的な外交的勝利だ」とツイート。「祖国の権利を守ろうとする国民の献身がこれを実現した」と述べた。(c)AFP