【7月21日 AFP】英ロンドンで19世紀に起きた「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」による殺人事件の捜査を担当した警察官のやしゃご(孫の孫)が、ついに真犯人を突き止めたとする書籍を来月刊行する。日曜紙サンデー・テレグラフ(Sunday Telegraph)が報じた。

 1888年に同市イーストエンド(East End)で少なくとも6人の女性が「切り裂きジャック」に殺害された事件は、英国で最も悪名の高い迷宮入り事件の一つ。

 サラ・バックス・ホートン(Sarah Bax Horton)氏は自身の新刊「One-Armed Jack: Uncovering the Real Jack the Ripper(原題、『片腕のジャック:切り裂きジャックの真犯人を暴く』の意)」で、葉巻製造業を営んでいた当時35歳のハイアム・ハイアムズ(Hyam Hyams)についての調査結果を発表。被害者と共に目撃されていた容疑者に関する当時の証言がハイアムズの特徴と合致し、犯人の可能性が高いと指摘している。

 ハイアムズは、てんかんの持病があり、アルコール依存症で、精神科病院への入退院を繰り返していた。当時の目撃証言によれば、容疑者は30代半ばに見え、片腕が硬直し、足を引きずって歩き、膝が曲がったままだった。

 バックス・ホートン氏が捜し出したカルテによると、ハイアムズは、けがの後遺症で左腕の曲げ伸ばしができず、片足を引きずり両膝が伸びなかった上、身長や体格も目撃者の説明に近かった。過去に「肉切り包丁」で妻を襲ったこともあったとされる。

 複数の病院や精神科病院の記録によると、ハイアムズはてんかん発作をたびたび起こし、1889年9月に精神科病院に収容されたまま1913年に死亡した。

 バックス・ホートン氏は、容疑者の「長いリスト」に加えられながら一度も徹底調査の対象にならなかったとされるハイアムズが殺人を繰り返した理由について、心身の衰弱がアルコール依存症で悪化したためと結論付けている。

 切り裂きジャック事件の専門家ポール・ベッグ(Paul Begg)氏は、バックス・ホートン氏の新著を「非常によく研究され、しっかりまとめられている」と評価している。(c)AFP