【7月16日 AFP】15日に行われたテニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2023)の女子シングルス決勝で優勝したマルケタ・ボンドロウソバ(Marketa Vondrousova、チェコ)は、夫が流した予想外の涙は「あり得ない」快挙を締めくくる完璧な出来事だと話した。

 ボンドロウソバは6-4、6-4で大会第6シードのオンス・ジャバー(Ons Jabeur、チュニジア)を破り、オープン化後では大会史上初となるノーシードでの優勝を達成。最後まで落ち着きを保って勝利し、2019年の全仏オープン(French Open 2019)決勝で敗れて逃した四大大会(グランドスラム)のタイトルを初めて獲得した。

 世界ランキング42位からのウィンブルドン制覇は、夫のステパン・シメク(Stepan Simek)さんにとってもまったくの予想外だった。それまで自宅でペットのネコの面倒を見ていたシメクさんは、ネコの世話をしてくれる人が見つかったおかげでロンドンでの決勝に駆けつけると、試合後は勝利したボンドロウソバを見て歓喜の涙を流した。

 ボンドロウソバは「私が(スタンドの)ボックス席へ向かったときには泣いていたと思う。夫の方を見たら号泣していた」と話し、「信じられない。式を挙げてから、あしたでちょうど1年になる。この8年間で彼が感情を見せたのは初めて。多分、結婚式でも泣いていたけど、そのときくらい」と続けた。

 昨年はけがに苦しみ、ウィンブルドンは親友のミリアム・コロジエヨバ(Miriam Kolodziejova)が本戦出場を目指すところを見ているくらいしかできなかった。ボンドロウソバは「去年の今頃はまだギプスをはめていて、ここへは旅行者として来た。復帰した後も、以前と同じレベルに戻れるかは分からなかった。だからこの結果はあり得ないように思える」と明かした。

 さらに、これまで芝でいい結果が残せていなかったことからも、ウィンブルドンで長く勝ち残れるとは期待していなかった。

「これまで芝は苦手だった。信じられない。大会前、私に優勝の可能性があると言う人は誰もいなかったはず。自分はノーシードだった。それがこんなクレイジーな道のりになるなんて、信じられない」 (c)AFP/Steven GRIFFITHS