チベットの「天然酸素バー」ラル湿地 市民の暮らしも潤す動物の楽園
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【7月16日 東方新報】中国西部のチベット自治区(Tibet Autonomous Region)ラサ市(Lhasa)郊外にあるラル湿地は、標高3600メートルを超え、総面積は12平方キロに及ぶ。世界で最も標高が高い都市近郊の湿地だ。大気中の二酸化炭素を吸収し、都市の汚水を浄化する役割を果たしていることから、「ラサの肺」と呼ばれている。
ラル湿地は5月1日から無料開放されており、多くの市民が訪れては、自然が織りなす生態絵巻を鑑賞している。湿地や草原に生息するアカアシシギ、世界的に減少しているメジロガモ、真っ黒な姿が特徴のオオバンなど、多くの渡り鳥を眺めることができる。水鳥たちはエサを探し、親子で水面を泳ぐなど、湿地で自由気ままに過ごしている。
「動物の活動は生態系のバロメーターです。ラル湿地の環境改善に伴い、越冬する鳥の数と種類は増加しています。ラル湿地は渡り鳥の楽園となっています」。ラル湿地国家級自然保護区管理局のニマ・ドルジ副局長は笑顔を浮かべる。
ラサ市は2013年から2025年にかけて7億元(約135億円)以上を投じ、ラル湿地などの生態系回復プロジェクトを進めている。多くの野鳥や昆虫が生息する光景は、その成果と言える。
中国では、空気が新鮮で自然が豊かな地域を「天然酸素バー」と呼んでいる。澄み渡った空気を吸い込み、心身を浄化する意味で、ラル湿地は「ラサの肺」というニックネームとともに、新たに「天然酸素バー」として注目されている。
生態系回復プロジェクトによりラサ市周辺を流れるラサ川の整備も進み、市民が川に親しみやすい公共空間を提供している。約40人が活動する環境保護監視員の一人、ラパ・ツェリンさんは「ラサ川はラサにとって母なる川。しっかり保護しなければなりません」と話す。
ラサ市の王強(Wang Qiang)市長は「現在、市内の水道改善プロジェクトを進めている。水道システムが全体的に改善され、市民はより大きな利益を得る」と話す。
青い空、白い雲、澄んだ水と緑は単なる鑑賞の対象ではなく、人々の暮らしと健康を守る存在でもある。(c)東方新報/AFPBB News