「ユニバーサルロボット」の協働ロボットがファミリーレストランの売り場で調理をしている。顧客がボタンを押すとサルククスや麻辣湯を製造する(写真=HRTシステム)(c)KOREA WAVE
「ユニバーサルロボット」の協働ロボットがファミリーレストランの売り場で調理をしている。顧客がボタンを押すとサルククスや麻辣湯を製造する(写真=HRTシステム)(c)KOREA WAVE

【07月14日 KOREA WAVE】人間と同じ空間で一緒に作業ができる産業用ロボット「協働ロボット」が韓国で市場を拡大し、顧客探しに奔走している。

消費者に馴染みのある飲食関係から各種の製造現場、医療分野など、活用幅を徐々に広げている。

デンマーク協働ロボット製造企業「ユニバーサルロボット」はこのほど、ソウルCOEXで開かれた「協働ロボット革新フォーラム」で、自社協働ロボットの多様な活用事例を紹介した。

◇「コーヒーを淹れてカクテルを作って……日常に近づく協働ロボット」

代表的な企業は、ロボットシステム統合(SI)の「HRTシステム」だ。「ユニバーサルロボット」の協働ロボットとMiR自動運転ロボット(AMR)などをサービスする。HRTシステムによると、ユニバーサルロボットの協働ロボットは飲食店やホテルなどサービス業界に広く普及している。ファミリーレストラン「VIPS」は数年前からサルククスや麻辣湯の製造用に協働ロボットを活用してきた。顧客がボタンを押すと、ロボットが材料を入れて簡単な料理を作る。

ホテルや構内食堂で目玉焼きを作ったりもする。シンガポールの6つのホテルは朝食コーナーにロボットを導入して運営している。

ユニバーサルロボット協働ロボットが目玉焼きを作っている(写真=HRTシステム)(c)KOREA WAVE
ユニバーサルロボット協働ロボットが目玉焼きを作っている(写真=HRTシステム)(c)KOREA WAVE

HRTシステムのキム・マング代表は「ロボットは単純で反復的な仕事をするのに効率的に活用できる。最近では自律移動ロボットに協働ロボットを搭載して活用する事例も多くなっている」と指摘する。

ソウル・聖水洞(ソンスドン)にあるカフェ「BotBotBot」は、産業用ロボットメーカー「T-Robotics」が作ったロボットカフェだ。T-RoboticsはユニバーサルロボットUR32台とUR51台を導入した。コーヒーを淹れるドリップボットからデザートボット、カクテルボットを用意した。

聖水ロボットカフェ「BotBotBot」カクテルボット(写真=ロボット)(c)KOREA WAVE
聖水ロボットカフェ「BotBotBot」カクテルボット(写真=ロボット)(c)KOREA WAVE

サービスロボットのスタートアップ「XYZ」は先月発売したアイスクリームロボット「アリス3.0」導入を拡大した。アリス3.0は2021年に発売された初期モデルと比べて約50%程度軽量化され、アイスクリームを製造する時間も約20%早くなった。アイスクリーム約10種類とトッピング3種類を組み合わせて、多様なアイスクリームを1分前後で製造できる。

アリス3.0はクラウドロボット管制システムと統合し、リアルタイムでロボットの状態と在庫認識が可能なのが特徴だ。周辺状況をリアルタイムで認知するビジョンAI技術も初めて適用した。

XYZアイスクリームロボット「アリス3.0」(c)KOREA WAVE
XYZアイスクリームロボット「アリス3.0」(c)KOREA WAVE

◇「人手不足製造業の現場解決師」

「現代高周波熱処理」は高周波熱処理装備を運用し、主に自動車部品を生産するメーカーだ。ここは人件費の上昇に伴ってユニバーサルロボットUR10を2台導入した。

現代高周波熱処理のオ・ヘヨン理事は「ロボット導入後、生産性は約30%上昇し、不良率は60%減った。多品種生産環境に柔軟に対処できるのも長所」と話している。

現代高周波熱処理に導入されたユニバーサルロボット協働ロボット(写真=ユニバーサルロボット)(c)KOREA WAVE
現代高周波熱処理に導入されたユニバーサルロボット協働ロボット(写真=ユニバーサルロボット)(c)KOREA WAVE

「現代三湖重工業」は最近、造船所の溶接工程に協働ロボットを活用し始めた。ユニバーサルロボットと「Rainbow Robotics」の製品をそれぞれ24台、18台ずつ導入した。

現代三湖重工業は、新たに導入する協働ロボットを平板中心のパネル組立部と曲ブロック中心の大組立部溶接に活用する予定だ。

現代三湖重工業のホン・ジウン氏は「船舶受注量が増えた半面、造船業人材はますます減っている。協働ロボットも最初から完璧ではないが、現場エンジニアと協業することで誤差を減らしている最中だ」と明らかにした。

◇「産業現場の自動化を加速させる」

協働ロボットメーカー「斗山ロボティクス」も、市場先取りに向けた戦略を模索している。斗山グループのパク・ジウォン副会長はドイツ・ミュンヘンで先月28日(現地時間)に開かれた自動化展示会「automatica 2023」を参観している。

「automatica 2023」を参観する斗山グループのパク・ジウォン副会長(左)(写真=斗山)(c)KOREA WAVE
「automatica 2023」を参観する斗山グループのパク・ジウォン副会長(左)(写真=斗山)(c)KOREA WAVE

パク副会長は「協働ロボットが人間と相互作用して、活用範囲を広げている。成長期に入った協働ロボット市場先取りのため、多様な企業と協力して新たなチャンスを発掘していこう」と述べた。

医療現場も協働ロボットの活用策を模索している。製造企業「Neuromeka」は先月30日、医療ロボット企業「CUREXO」にロボットアームなど製品群200台を納品した。CUREXOは人工関節手術ロボット、脊椎手術ロボット、歩行リハビリロボット、上肢リハビリロボットを製造する国内手術用医療ロボット企業だ。

ロボットアームを活用した電気自動車の自動充電システム(写真=ソウル市)(c)KOREA WAVE
ロボットアームを活用した電気自動車の自動充電システム(写真=ソウル市)(c)KOREA WAVE

このほか、電気自動車の充電などの活用も見込まれる。ソウル市は地下鉄9号線の新傍花(シンバンファ)駅乗り換え公営駐車場で電気自動車を充電する「無人ロボット充電システム」を9月から2年間テスト運営する。

ロボット業界関係者は「国内の人件費上昇などさまざまな要因でロボット活用の需要が急速に増えている。ロボット導入を支援する政府支援事業も活発化するだろう」と見通している。

(c)KOREA WAVE/KOREA WAVE/AFPBB News