【7⽉16⽇ Peopleʼs Daily】教壇、机、椅子にプロジェクター―。中国・福建省(Fujian)の閩清県(Minqing)白中鎮(Baizhong)田中村にあるこの教室のレイアウトは、通常の教室と変わらない。ただ、椅子に座っているのは小中学生ではなく、20人余りの高齢者だ。73歳の銭遠平(Qian Yuanping)さんが席に着くと、若い教師がすぐに授業を始めた。

 これは「銀杏楽齢学堂」(以下、楽齢学堂)での一幕だ。高齢者の精神的・文化的ニーズをより満たすため、福建省は2022年6月に「楽齢学堂」の建設に乗り出した。閩清県は第一陣の試行地に組み込まれ、多方面にわたる資源統合、社会の力の導入によってその拡充を進めた。統計によると、同県にある「楽齢学堂」の数はすでに8か所、利用者は1069人に上る。

 田中村では600人余りの高齢者が暮らしており、「新しい事をもっと学びたい」というのは多くの高齢者の共通の願いだった。「楽齢学堂」が開設されると聞いて前述の銭さんは喜んだが、その一方で「内容を理解できるだろうか」と不安も感じた。2022年7月、そんな銭さんの家を訪れたのが、閩清県八方社会福祉サービスセンターの劉丹丹(Liu Dandan)さんだ。劉さんが持参した表には、年齢、学歴、健康状態、家庭の状況、趣味、講座への要望など高齢者に対する多くの質問事項が並んでいた。

 閩清県は専門の社会福祉チームを導入して「楽齢学堂」のカリキュラムを統一的に計画した。「楽齢学堂」開設予定の村で戸別調査を行い、劉さんはこの過程で「年齢の若いお年寄りは手を動かす講座に興味を持っている。年齢を重ねると養生への関心が高まる」ことに気が付いた。こうした調査から生まれた時間割では、三つのコース、約100に上る講座がカバーされた。

 一方、教師陣について劉さんは、センターの在籍者に加えてさまざまな方面から招いていることを紹介した。公共コースでは司法、行政、環境保護部門などの職員が、専門コースでは教育、衛生、文化観光などの分野のプロが教師を務め、さらに地元での人材発掘・育成も進められている。

「楽齢学堂」で学ぶ65歳の黄美玉(Huang Meiyu)さんは最初、恥ずかしそうにしていたが、何回か参加した後に先を争うようにして受講を申し込んだ。その理由を問われた黄さんは、教室の棚に並ぶ自身の折り紙作品を指さした。講座で作った作品を持ち帰って孫娘に見せたところ、「おばあちゃん、すごい」と絶賛されたそうだ。

 田中村の高齢者はこれまで時間を持て余していたが、歌やダンスを学ぼうと思っても誰に頼ればよいか分からなかった。「楽齢学堂」ができてからは仲間と一緒に学ぶことが喜びとなり、村の様子にも明らかな変化が起きた。

 閩清県民政局の黄庚(Huang Geng)局長によると、同県はこの先、「楽齢学堂」の増設や高齢者訪問サービスのカバー範囲拡大など一連の措置を通じて農村の高齢者教育の提供能力を増強する方針だ。黄局長は、「多層的で多様な高齢者向けサービスの需要を満たし、高齢者の幸福指数を絶えず引き上げる」と語った。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News