【7⽉15⽇ Peopleʼs Daily】中国は先ごろ、有人宇宙船「神舟16号(Shenzhou-16)」の打ち上げを成功させた。福建省(Fujian)晋江市(Jinjiang)の工場が製造する小さなファスナーも、6回目の「宇宙の旅」に出た。

 宇宙服用ファスナーには信頼面、安定面、安全面での厳しい要求がある。通常ならばファスナーが耐えられる張力は760ニュートンだが、宇宙服用は2000ニュートンに耐えねばならない。開閉は絶対に円滑である必要がある。

 ファスナーは小さいが、その製造には100以上の工程がある。いずれかの部分に問題があっても、完成品の品質が影響を受ける。密接に関係する学問分野は細分すれば40以上だ。関連する学問分野が多く、技術の方向性が複雑であることから、福建潯興拉鏈科技(SBS)は産学研による協働の方式を選択した。

 例えば金属ファスナーは素材が硬いので、製造設備が傷つきやすい。そこで大学側が金属の配合を最適化した。このことで製造コストも低減できた。宇宙服用ファスナーは使用される温度帯が広く、広い範囲のpHに耐えねばならないので、金属が腐食されやすく、寿命も影響を受ける。この問題では科学研究機関が表面腐食技術のテストで協力し、製品の環境適応能力を高めた。大学や研究所は製品についての論証とデジタルシミュレーションも行った。福建潯興拉鏈科技は、宇宙服用ファスナーを製造する専門の設備を開発した。無数の試験と改良を経て、ついに「宇宙標準」に達するファスナーを作り出した。

 産学研の協働では、顧客のニーズを最も理解する企業が、科学研究の成果の着地を加速する役割を果たす。企業自身の研究開発チームが、大学や科学研究機関と頻繁に意思疎通をすることで、大学や科学研究機関に難関突破の「目標」を見定めさせることができる。企業はさらに、大学や科学研究機関の研究成果の産業化リスクを大幅に低減する。大学と科学研究機関が技術革新を活性化し、企業が技術転化や検証・フィードバックのプラットフォームを提供する。参画者それぞれが「同じ周波数で共振」してこそ、革新に向けての配置の効率化を強力に進められる。

 ファスナー業界では今、科学技術を駆使した斬新な製品が次々に登場している。暗い環境で光を反射するファスナー、近距離無線通信に対応してネットワーク相互接続や、モバイル決済、電子チケットなどの応用を実現できるファスナーなどだ。アパレル業界の需要が多元化し、個別化するにつれ、中国の多くのファスナー企業は科学研究の基礎をしっかりと築き、技術力を蓄積することによって、激しい市場競争に対応することを選択した。

 宇宙服用ファスナーは、企業が科学技術革新の主体としての地位を強化し、企業主導の産学研の深い融合を強化し、科学技術成果の転化と産業化レベルを高めれば、従来型産業の革新の道は進めば進むほど広くなることを改めて証明した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News