【7⽉12⽇ Peopleʼs Daily】中国では、インダストリアルインターネットがデジタル経済と実体経済の深い融合を推進し、工業生産に新たな光景をもたらしている。

 北京市内にある三一重工(Sany)の工場は、杭打ち機用の巨大な回転掘削装置などを製造している。重量100トン近くで深さ100メートル以上の穴を掘れるものもある。組み立てているのはロボットだ。

 同工場の加工技術所の尹言虎(Yin Yanhu)所長は「以前は1台を生産するのに1か月ほどかかりました。従業員は1000人以上で、年産額は30億元(約583億円)余りでした。工場は2019年にデジタル化改造に着手しました。現在は回転掘削機1台の生産に7、8日しかかからず、年産額は70億元(約1360億円)以上になりました」と説明した。

 デジタル化改造の鍵はインダストリアルインターネットだ。尹所長によると、インダストリアルインターネットとコントロールセンターシステムにより、生産の各プロセスで、ロボットが効率的に作動する。工場内の3万6000か所以上で収集されたデータが絶え間なく分析され、各工程、各機種、さらには各刃物などに最適な設定が付与される。同工場は2021年、世界経済フォーラム(WEF)が「目指すべき工場」として承認する「ライトハウス」の一つに選ばれた。

 2023年のインダストリアルインターネット大会で発表されたデータによると、中国では関連産業の規模が現在1兆2000億元(約23兆円)を超え、一定の影響力を持つインダストリアルインターネットプラットフォームは240社以上、サービス企業は26万社を超えた。

 樹根互聯(Rootcloud Technology)はインダストリアルインターネットプラットフォームを提供する企業の一つだ。同社が開発したインダストリアルインターネット用OSは、企業のアプリに開発と運行の環境を提供している。同社は現在、工業企業約1000社にインダストリアルインターネットサービスを提供している。

 樹根互聯の賀東東(He Dongdong)最高経営責任者(CEO)は、従来型の工業情報化システムについて「データは階層化されており、データは層ごとに上下に伝達される」と説明した。一方で、インダストリアルインターネットOSにより構築されたデジタル化工場では、データの相互伝送効率がより高く、コストも低減される。

 インダストリアルインターネット「虎雲」では、接続している工業企業は相互に許可した上で互いのデータを見ることができ、調達、販売、訓練、維持などの業務を展開できる。この工業企業SNSを利用した取引規模は、年間数百億元(100億元<約1944億円>)に上る。

 中国情報通信研究院の余暁暉(Yu Xiaohui)院長は、「中国のインダストリアルインターネットは現在、大規模化の新たな段階に入りつつある」と説明した。中国ではインダストリアルインターネットが製造業のデジタル化、ハイエンド化、スマート化、グリーン化を推進する重要な手段になっている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News