【7月12日 東方新報】中国自動車工業協会が主催した「中国自動車フォーラム2023」で7月6日、第一汽車集団(FAW Group)、東風汽車(Dongfeng Motor)、上海汽車集団(SAIC)、広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)、テスラ(Tesla)北京など中国の主要自動車メーカー16社が『自動車業界の公平競争市場秩序維持に関する承諾書』に署名し、過度な価格競争と消費者を惑わす不適切な宣伝競争を今後行わない旨の宣言を行った。

 23年初めのテスラ社による国産EV2車種の史上最大となる値下げを皮切りに、同業の上海蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(XPeng)など新エネルギー車企業が10以上の車種で優遇価格を発表。また、新エネ車の安値競争の影響を受けガソリン車分野でも特価販売が全面的に拡大、2割引き、4割引きも当たり前の様相を呈し、消費者の注目を浴びた。

 過度な価格競争は自動車メーカーの利潤を押し下げた。国家統計局の統計では、23年第1四半期のメーカー利潤率は3.8%で前年同期比1.6%の下落、業界利潤総額は819億元(約1兆6006億円)で前年同期比24.2%減少した。その後第2四半期では「価格戦争」が徐々に沈静化し、業界利潤率も4.8%までの回復を見せていた。

 16社が署名した『承諾書』には、業界規約の順守、公正な競争秩序の維持、正常とは言えない価格競争による市場混乱の防止、誇大広告や顧客獲得のため消費者を惑わす宣伝の禁止などが盛り込まれている。

 しかし、新エネルギー車の「価格戦争」による市場混乱はなお重大な状況だ。22年に販売されたEVなど新エネ車は350車種を超すが、月間平均販売台数はわずか1000台程度のものばかりだ。100社を超すメーカーの中で、新エネ車で利益を出している企業はわずかな数に過ぎない。

「良好で健康的な秩序正しい市場競争は、自動車産業の高品質な発展に必要かつ重要な保障要素の一つで、『承諾書』は業界共同で自動車の消費環境を守り、販売を促進するためにプラスの作用を持つもの」というのが今の自動車業界の認識だ。

「工業と情報化部装備工業司」の苗長興(Miao Changxing)一級巡視員は、「多くの企業が市場秩序を保った販売活動を行い、むやみな値下げ競争を避け、企業体力の強化、体制改革、品質とサービスの向上に努め、業界一丸となって自動車産業の質の高い発展に取り組むべきだ」と強調する。

 広州汽車集団の馮興亜(Feng Xingya)総経理は「価格戦や宣伝戦を避けるだけでなく、業界の協力体制の強化で、互いの弱点を補強することが必要だ」と述べている。

 中国自動車工業協会の付炳鋒(Fu Bingfeng)秘書長はフォーラムの席上で、「22年末時点で中国の自動車保有台数は千人当たりわずか226台に過ぎず、車を持たない家庭が多い。若者の消費動向も継続的に伸びている。世界の自動車先進国の発展過程から見て、中国の内需のピークは約4000万台と予測する。中国経済と市場の地方への面的な発展により、千人当たり400台レベルは完全に到達可能だ」と述べている。(c)東方新報/AFPBB News