【7月10日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch、HRW)は10日、仏石油大手トタルエナジーズ(TotalEnergies)などが進める東アフリカでの原油パイプラインプロジェクトについて、環境および地元住民に深刻な悪影響をもたらす恐れがあるとして、停止するよう訴えた。

 HRWが問題視しているのは「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」プロジェクトで、トタルと中国海洋石油(CNOOC)が昨年、合意した。ウガンダの内陸油田で採掘した原油をパイプラインで1445キロ離れた、インド洋に面するタンザニア・タンガ(Tanga)港まで運ぶ。総投資額は100億ドル(約1兆4300億円)。

 HRWは、プロジェクトが推進されれば脆弱(ぜいじゃく)な自然環境に取り返しの付かない打撃が及ぶほか、立ち退きを求められている住人約10万人の一部については補償が不十分なほか、遅延しているケースが見られると指摘。土地の売却を迫られた住人もいるとしている。

 HRWは「食料をもたらし、子どもを学校に行かせるための収入をもたらしてくれる土地を失ったり、わずかな補償しか受け取れなかったりした数万人の住人にとって、EACOPは災厄だ」と糾弾。「地球(環境)にとっても災厄で、プロジェクトを完成させてはならない」としている。(c)AFP