中国の宅配業界では「スピード競争」に加えて「グリーン競争」も
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【7⽉14⽇ Peopleʼs Daily】中国では2023年になってから、宅配便の月間取り扱い数が100億件を超える状態だ。急成長する宅配業界は、グリーン・低炭素モデルへの転換の能力も試されている。
湖南省(Hunan)の瀏陽市(Liuyang)内にある宅配業者の韻達(Yunda Express)の配送センターでは、午前0時になっても作業が急ピッチで進められていた。仕分け作業は自動化されており、各地から運ばれてきた荷物が集荷袋の中に落ち、次の拠点に送られていく。
この仕分けセンターの責任者によると、仕分けの全自動化によって人手を70%削減できたが、センター全体の1日の電力使用量は3万5000キロワット時にまで増加した。
センター側はグリーン宅配への取り組みの一つとして、建物屋上に太陽光発電パネルを敷き詰めた。パネルの面積は計5万平方メートルほどで、余剰電力は販売しているので、社会全体のグリーン化にも貢献しているという。太陽光発電は2022年10月の稼働開始以来、2023年5月末までに累計300万キロワット時近くを発電した。
円通(YTO Express)北京貨物輸送で運転手を務める閆永建(Yan Yongjian)さんの仕事は、夜明けの直後に始まった。集配センターと次の集配拠点までの数十キロの道のりを、1日で5往復せねばならない。
閆さんは2022年10月、配属される集配センターの中でも新エネルギートラックを使う最初の運転手の1人になった。閆さんによると「ディーゼル車の1キロ当たりの燃費は0.7元(約13円)ですが、新エネ車は0.3元(約5円)なので得です」という。
中国国家郵政局はここ数年、省エネ・低炭素の輸送方式と設備を普及させるために、宅配業者に対して新エネルギー車両の購入と使用を支援する政策を打ち出している。業界全体の新エネルギー車両保有台数は6万5000台を超えた。
宅配業者の中通快逓(ZTO Express)の山東省(Shandong)臨沂市(Linyi)にある配送センターでは、倉庫に何百個もの青い袋が並べられていた。センター責任者の孔鋼領(Kong Gangling)さんによると、それぞれの袋には追跡用のチップが内蔵されている。さらに重要なことは、この袋は4-6か月にわたって繰り返し使用でき、1回の使用コストを50%以上節約できることだ。
中国では宅配包装の簡素化や再利用率の向上が急速に進んでいる。5月に実施された宅配便のサンプル調査と推計によると、ネット通販に伴う宅配便で二重包装をしていない割合は90%に達し、同月において繰り返しの使用が可能な包装素材を使った宅配便は3億8000万件、回収や再利用に適した段ボール箱は3億5000万個に達した。
国家郵政局市場監督管理司の管愛光(Guan Aiguang)副司長によると、「今年は業界のグリーン・低炭素モデル転換発展実施意見を発表し、業界のプラスチック汚染と過剰包装対策を推進し、グリーン拠点、グリーン発送センターの試みを引き続き展開し、循環可能な宅配包装の利用率を着実に引き上げる」という。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News