雲南省の「チョウの谷」では自然保護と経済発展が両立
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【7⽉12⽇ Peopleʼs Daily】世界ではこれまでに約2万種のチョウが確認されている。中国では、うち約2100種が生息している。中でも多くのチョウが生息しているのは雲南省(Yunnan)紅河ハニ族イ族自治州(Honghe Hani Yi Autonomous Prefecture)金平ミャオ族ヤオ族タイ族自治県(Jinping Miao, Yao and Dai Autonomous County)馬鞍底郷にある蝴蝶谷(チョウの谷)と呼ばれる一帯で、320種余りが確認されている。蝴蝶谷では毎年5月から6月にかけて、何億匹ものチョウが繭を破って出て来る「チョウの爆発」が発生する。蝴蝶谷は、世界の中でもチョウの生息密度が最も高い地域の一つだ。
馬鞍底郷は山間部にあり、森林被覆率が70%で年平均降雨量は2500ミリだ。環境がもたらす豊かな植生が、チョウの幼虫に十分な食料を提供する。
午前8時、紅河蝴蝶谷チョウ博物館の楊鎮文(Yang Zhenwen)館長はリュックサックを背負い、大きなバケツを提げて、5キロ離れた観測地点に向かった。楊館長は1998年に地元の林業ステーションに就職し、その時から25年間にわたりチョウの観察や保護をしている。
金平ミャオ族ヤオ族タイ族自治県は数年前から、蝴蝶谷保護管理条例を制定し、蝴蝶谷管理の専門機関を設立し、住民に対する生態保護意識の教育に力を入れてきた。楊館長によると、馬鞍底郷の各村の村民規約には森林の保護、水源の保護、チョウの保護が明記されており、住民は自覚して行動している。
金平県は、チョウの保護と発展の新たな方式を模索している。5月18日には、改良と拡大の作業を終えた紅河蝴蝶谷チョウ博物館が改めて、一般無料開放された。楊館長は「2010年の設立当初は20種類余りの標本しかありませんでしたが、今では270種類以上の標本を所蔵しています。いずれも蝴蝶谷のチョウです」「調査を続行して、蝴蝶谷の生物多様性をできるだけ多く示したい」と述べた。
金平県ではチョウを観察するエコツーリズム産業が定着した。道路も整備され、省都の昆明市(Kunming)からわずか5時間になった。遼寧省(Liaoning)鞍山市(Anshan)から来たチョウ写真家の王彦春(Wang Yanchun)さんは、「2011年に初めて来た時よりも、食事や宿泊の施設が完備されて便利になった」と話した。今年は撮影のために1週間滞在するという。
蝴蝶谷が一般公開されたのは2010年で、累計190万人近くの観光客が訪れた。今年5月20日に開催された蝴蝶谷芸術祭には5万人以上が訪れた。多くの観光客が訪れることで、地元住民の収入も増えた。チョウを見る景観道や、チョウの人工繁殖やチョウの科学知識普及を行うチョウ種源繁殖基地も建設された。住民は自発的に七彩蝶専門協同組合を設立して、チョウの繁殖や関連商品の研究開発をしている。馬鞍底郷では、ますます多くの人が、豊かな自然がもたらしてくれるチョウ関連産業のおかげで豊かになっている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News