【7月1日 AFP】ポーランド当局は30日、同国アイスホッケーリーグでプレーしていたロシア人選手一人をスパイ容疑で逮捕したことを明らかにした。これに対し、ロシア側は抗議をするとともに「即時の」説明を求めた。

 ポーランド側は逮捕された男の名前を公表しておらず、単に「アイスホッケー1部リーグでプレーするプロ選手である」としている。男は6月11日に南部シレジア(Silesian)地方で逮捕され、2021年からポーランドに住んでいたことも明らかにした。当局によると、この容疑者はスパイ行為で訴追され、これから3か月勾留されるという。

 一方、ロシアの国営メディアでは、この男はポーランド1部リーグのザグウェンビエ・ソスノビエツ(Zaglebie Sosnowiec)でプレーしていたマキシム・セルゲーエフ(Maxim Sergeyev)と伝えられた。チームのウェブサイトによると、セルゲーエフは現在20歳で、モスクワ郊外のレウトフ(Reutov)出身だという。

 ポーランドとロシアは歴史的に敵対関係にあるが、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中で、ウクライナの強固な同盟国の一つであるポーランドは、ロシアと新たな対立関係に達している。

 ポーランド政府によると、いわゆるロシア政府の指令でスパイに関与し、逮捕されたのはこれで14人目になる。

 ポーランドの国内保安局(ABW)は、容疑者全員がロシア市民であるかどうかは明確にせずに「彼らは全員、ポーランド共和国の東部国境を越えて来た外国人と特定された」と公表した。

 さらに「全グループがロシアによって利用され、鉄道路線の監視を含む諜報(ちょうほう)活動を行ったり、北大西洋条約機構(NATO)、ポーランド、そしてポーランド政府の政策に反対するプロパガンダを広めたりしていた」とし、容疑者らがロシア諜報機関のために、破壊工作の準備をしていたとも述べた。(c)AFP