米最高裁、大学入学選考での人種考慮を禁止
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【6月30日 AFP】米最高裁判所は29日、大学の入学選考で志望者の人種・民族を考慮することを禁じる判決を下した。約60年にわたり黒人など少数派の教育機会向上に寄与してきた「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」にとって大きな打撃となる。
訴訟は、市民活動団体「公平な入学選考を求める学生たち(SFFA)」がハーバード大学(Harvard University)とノースカロライナ大学(University of North Carolina)を相手取り起こしたもの。同団体は、人種を考慮する両校の入学選考がアジア系の志望者を差別していると主張していた。
最高裁の判事9人のうち、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が任命した3人を含む保守派6人が原告の主張を支持。入学選考では、人種差別を受けて育ったといった人生経験を考慮することは許されるものの、志望者が白人か黒人かといった基準を主な判断材料とすることは、それ自体が人種差別であり、合衆国憲法に違反すると指摘した。
保守派は、この判決を歓迎。一方のリベラル派からは批判の声が上がった。ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は「深く失望」したと表明し、現在の最高裁は「正常な裁判所ではない」と批判した。(c)AFP