地元産業のアパレル産業が高度化への道まい進 江蘇省常熟市
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【6⽉30⽇ Peopleʼs Daily】中国・江蘇省(Jiangsu)常熟市(Changshu)のアパレルメーカーの江蘇金辰製衣は先日、10日以内に6万着の服を製造する注文を受けた。同社はわずか1週間で納品した。
「昔だったら絶対に無理でした」――。同社業務部の責任者である林国師(Lin Guoshi)氏は断言した。新しい服を作るにはラインを再調整せねばならず、ラインが円滑に動くまでに通常で1週間がかかったからという。
現在の生産現場を見ると、スマート生産吊り下げ伝送システムが袖口、襟、前襟など衣服の「部品」を一つずつ、持ち場につく労働者に正確に届けている。各所にタブレット端末が設置されており、作業の一部始終がリアルタイムで識別され、記録されている。
複雑なデザインの服を生産するには、200~300の工程が必要な場合もある。同社は人工知能技術を生産のすべての段階に応用することで、工場各所の効率的な協働作業を可能にした。
常熟市には4000社以上の紡績・アパレル企業が存在する。蘇州市(Suzhou)拉波尼服飾は中でも大手のアパレル企業だ。年間生産数は1000万着以上で、3000件以上のデザインをこなしている。陳開恩(Chen Kai'en)会長によると、伝統的なデザイン法では、デザイン画の作成、サンプル作成、デザイン修整など多くの過程があり、生産を軌道に乗せるまでに半月も要することが普通だった。
今では、デザイナーが「スタイル3D」と呼ばれるアパレル産業向け3Dデジタル化サービスプラットフォームを用いて、データ登録されている服の「部品」を選び、画面上でつなぎ合わせて細部をさらに修正すれば、30分以内に3D見本が出来上がる。
常熟市工業情報局産業政策課の兪喆(Yu Zhe)課長によると、過去3年の間に、常熟市全域で700社以上の紡績・アパレル企業がデジタル化改造を実施した。投資額は累計20億元(約396億円)を超えたが、企業の平均労働生産性が35%上昇し、製品の製造日数が19%短縮された。
アパレル総合市場である常熟服装城総合市場に付設されたファッションデジタル基地では、多くのライブ販売ブースが使用されている。ブースの外では台車が行き交い、衣類を梱包して各地に発送している。このファッションデジタル基地には、数年間で100近くの商店や企業が入居したという。
ネットショップは地元の十数社のアパレル工場と協力関係を結んでおり、予約販売状況に応じて工場と連携して迅速に対応している。すでに年間に数万着を販売するネットショップも出現した。
2022年には常熟市における服飾のオンライン販売額が1000億元(約2兆円)を超えた。伝統的なアパレル卸売市場から全国向けのライブ販売に至るまで、常熟市では業態と市場、ブランド、物流、人材、サプライチェーンなどが全面的に融合しつつある。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News