5月9日、帝国ホテル東京で紹興市(Shaoxing)人民政府主催、紹興市人民政府外事辦公室・紹興市文化放送観光局・中国紹興黄酒集団有限公司(古越龍山)共催によるイベント「越酒、天下に行き渡る──紹興酒と文化都市紹興を知る会&古越龍山『只此青玉』を楽しむ会」が盛大に行われた。プレゼンターは日中両国で活躍する女優の中西悠綺(Yuuki Nakanishi)が務めた。

 紹興市政治協商会議副主席の呂丙(Lu Bing)氏、古越龍山董事長の孫愛保(Sun Aibao)氏など訪日団のメンバー以外に、中国駐日大使館首席公使の楊宇(Yang Yu)氏や文化部公使参事官の陳諍(Chen Zheng)氏、鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)元首相、衆議院議員の海江田万里(Banri Kaieda)氏、日中友好協会理事長の岡崎温(Yutaka Okazaki)氏、日中協会理事長の瀬野清水(Kiyomi Seno)氏、東京中国文化センター長の羅玉泉(Luo Yuquan)氏、獺祭で知られる旭酒造株式会社社長の桜井一宏(Kazuhiro Sakurai)氏、日本華人文聯主席の晋鷗(Jin Ou)氏、在日中国企業協会会長の王家馴(Wang Jiaxun)氏など両国の政界・財界・文化界の代表総勢百人を超える参加者が詰めかけた。

 紹興酒がすでに全国に行き渡っていた中国明清の時代、乾隆帝が紹興を巡幸した際に美酒に出会い、「越酒行天下」と揮毫したと言われている。これをテーマにした今回のイベントはコロナ流行から4年目にして初めて開催された紹興市政府主催の海外紹興酒PR活動となった。また、初めてとなる紹興酒侍酒師(通称紹興酒ソムリエ)呼称資格認定制度の創設、日本で初開催となる紹興酒と日本酒の対話フォーラム、ドキュメンタリー映画「酒・家伝」の発表会、さらには中国で大ヒットしている舞踊詩劇「只此青緑」ハイビジョン映像の海外初放送と、初めてづくしの催しとなった。

 呂丙副主席は挨拶で「一衣帯水の中国と日本、緊密な交流のある紹興と日本。紹興黄酒は紹興が誇る名物であり、日本の人々にも大変人気があります。紹興市は、黄酒という歴史ある伝統産業を一貫して重視してきました。黄酒産業を常に活性化させることで、古越龍山の『只此青玉』のような多くの素晴らしい銘品が生まれたのです。今日のこのイベントを通して、より多くの日本の消費者に紹興酒を気に入ってもらい、双方にとってより良い関係が構築できることを願っています」と述べた。

 楊宇公使は「紹興市がこれからも日本との交流を深めて、さらに中日友好に貢献していくことを望むとともに、ぜひ日本の方々に紹興の地を訪れてほしい。酒の郷、水の郷、橋の郷、書道の郷など数多くの美称を持つ悠久の文化都市紹興を訪れ、そのすばらしさを全身で感じていただきたい」と挨拶を述べ、最後に自身の故郷がまさにその紹興であることを告げると会場は大きな拍手に包まれた。

 鳩山由紀夫元首相は「中国と日本の関係において、紹興酒は両国の民間感情をつなぐ重要な媒介である」と強調し、「日本酒の製造方法が紹興酒のそれを学んだものであることは間違いありません。つまり、紹興酒と日本酒は兄弟と言っていい。ですから、私としましては日本人と中国人が一緒になって、この二人の兄弟の同じところや異なるところを比べてほしいと思います」と挨拶を結んだ。

 海江田万里氏は1977年に初めて紹興を訪れたときのことを回顧し、白い壁と黒い瓦からなる水郷建築に囲まれると、あたかも故郷に帰ってきたかのような懐かしさを覚えたという。学生時代から魯迅(Lu Xun)の研究に打ち込んでいるという海江田氏は「中国を知るには紹興に行くべきである」と熱を帯びた様子で訴えた。

 日本発酵学の第一人者で東京農業大学名誉教授の小泉武夫(Takeo Koizumi)先生はビデオメッセージで、「紹興酒に代表される中国の黄酒は悠久の歴史と伝統、そして広大無辺の深い知恵があり、そしてなんと言っても酒に対する民族愛を感じました。このイベントを契機として中国と日本の醸造酒は共に手を取りあいながら邁進して行き、世界二大醸造酒の地位を確固たるものに築き上げましょう」と呼び掛けた。

 紹興市宣伝部副部長の何俊傑(He Junjie)氏は書道、紹興酒、禹王(Yu Wang)、王陽明(Wang Yangming)、魯迅という五つの名人名物を紹興と日本の文化的交わりのなかで最も相性の良い点として取り上げ、情感豊かに紹興文化を紹介。さらに日本の各業界の人々に向かって、現地で視察し、観光旅行を楽しみ、休暇を過ごし、投資して会社を起こすよう呼び掛けた。「紹興には酒があり、物語があります。紹興で皆さんをお待ちしています!」

 孫愛保董事長は胸一杯の感慨と誇りを三つの「好」に託し、「なぜ紹興酒は好(よ)いのか?」「なぜ古越龍山はさらに好いのか?」「なぜ只此青玉はとりわけ好いのか?」と段階を追って説くことで参加者は紹興酒、古越龍山、そして只此青玉についてさらに認識を深めるに至った。

 日本では紹興酒と日本の吟醸酒、そしてフランスのワインを合わせて世界三大美酒と呼ぶ。しかし、日本の消費者はワイン、清酒、ビールに対しては非常に詳しいものの、紹興酒については「ただその名を聞くのみで、その実を知らず」というのが現状である。古越龍山東京事務所の夏良根所長はこの「盲点」に着目し、紹興酒の歴史的背景を伝え広め、かつ紹興酒を日本で根付かせて家庭で楽しんでもらうために紹興酒のプロフェッショナルを養成する資格認定制度を作り上げた。持続的な教育と普及を通して、本物の紹興酒とそれに関する正しい知識を消費者に理解してもらおうと考えた。

 今回のイベントでは、紹興市黄酒協会常務副会長の孫愛保氏と同協会副会長の胡志明氏から紹興酒侍酒師講座の一期生たちに記念品が贈呈された。

 また、多くの知恵と共通認識が結集するこのイベントにふさわしく、古越龍山東京事務所所長の夏良根(Xia Lianggen)氏の声掛けにより初の試みとして紹興酒と日本酒の対話フォーラムが開催され、日本薬科大学特任教授・東京大学名誉教授の北本勝ひこ(Katsuhiko Kitamoto)氏、独立行政法人酒類総合研究所成分解析研究部門長の岩下和裕(Kazuhiro Iwashita)氏、日本ソムリエ協会副会長の君嶋哲至(Satoshi Kimijima)氏、旭酒造株式会社社長の桜井一宏氏、古越龍山副総経理の呂旦霖(Lv Danlin)氏、女児紅董事長の胡志明(Hu Zhiming)氏、鑑湖董事長の劉関明(Liu Guanming)氏、株式会社永昌源社長の剣持英夫(Hideo Kenmochi)氏が中国の黄酒と日本の清酒の今後の国際展開を議論し、双方の発展にとって数多くの有益な意見が出された。

 紹興酒造りの第一人者である中国醸酒大師の胡志明氏は「只此青玉」「桂花林蔵」「鑑湖酒坊1952」という三種の紹興酒それぞれが持つ味わいと評価について分かりやすく説明し、世界で活躍する日本の有名ソムリエ伊藤寿彦氏は紹興酒のテイスティングや料理とのペアリングについて語った。完璧とも言える料理と酒の組み合わせを実際に体験してもらおうと参加者たちに酒食が振る舞われ、紹興酒と東京の美食が織りなす甘美なハーモニーに舌鼓を打った。

 近年、古越龍山は「高級化、若年化、グローバル化、デジタル化」を海外進出するための羅針盤にして、いよいよ推進のノットを上げている。2020年12月に帝国ホテルタワーに東京事務所を設立してから三年間、所長の夏良根氏は紹興酒のプロモーションイベントを数多く企画・開催し、日本各地の自治体や民間団体と緊密な連携を図ることで、販売店と消費者の架け橋になってきた。

 東京は、古越龍山の「越酒、天下に行き渡る」というプロモーションの国際化におけるスタート地点である。古越龍山はこれからも国境を越えて紹興酒の文化を広め、紹興酒の物語を伝え、世界というフロンティアを開拓し、紹興酒の消費者を育てていくであろう。(c)古越龍山東京事務所